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2004.12.28

短編

アリス・マンローの『木星の月』を読もうと、図書館で検索している時に『アメリカ短編小説傑作選 2001』(編者:エィミ・タン シリーズエディター:カタリナ・ケニソン 解説:秦隆司 DHC出版)がヒットし、そのまま借りてみた。エィミ・タンの序文もおもしろく、彼女が小説家になるまでのこと、子どもの頃の読書体験、どんなものを読んできたか、そして「バベットの晩餐会」があなたにとっていつに変わらぬ大好きな映画だとしたら、わたしが選んだ短編小説はお気に召さないかもしれない、と言っている。私は「バベットの晩餐会」という映画は好きなので、さて、どうかしらと目次をみると、ハ・ジンがいた。お、これはいいかもと思い、最初の「隠者物語」(リック・バス 工藤惺文訳)を読む。凍結した湖面の下には水がない湖に出会った人物がその時、記憶に残ったことを語る物語。行ったこともないその水のない湖の空気が伝わってくるかのようで、よかった。寒い夜に読んだので、ひたひたと物語が近づいてきた。もうひとつ短編を読んでから、ハ・ジンと、アリス・マンローの短編も読む。「シャオナの記憶」(高木由紀子訳)は、幼稚園児、シャオナが夏に体験したある出来事について語られる。ハ・ジンはつれあいと中国で過ごした幼稚園時代のことをよく語り合うそうだ。それがこの物語のディテールになっているそうで、冒頭でのシーンからそのリアリティを感じる。小さいからまだわからないだろう、見えていないだろうとたかをくくっている大人がよく描けている。そして、それを見つけることで、子どもも成長していく。スベリヒユという草に関するエピソードは秀逸。アリス・マンローの作品名は「「セイブ・ザ・リーパー」(近藤三峰訳)。イブという60代くらいの女性が、一緒に暮らしていない娘や孫と、夏わずかにすごした数日のことが描かれている。自分がイブになったかのように、視線がぴったりあった。こんな風に過去を思いながら現実をみる日々を、いつか私も迎えるだろう。

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