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2006.02.24

かはたれ

かはたれ
朽木 祥作 / 山内 ふじ江画

しみじみと文章が体に入ってきました。やさしいけれど、きちんと登場するものたちに、まなざしがゆきとどいた物語。久しぶりのこの感覚、以前読んだ本ではどれだったかしらと頭の中で検索、そうだ、乙骨さんだ。

八寸は河童の子ども。河童年では61歳、人間の年でいうところの6歳の時に、親河童もきょうだい河童も、ある事件のあとに姿を消してしまい、天涯孤独の身の上になった。事件が尾を引き、八寸の身を案じてくれるものがいなく、ひとり遊びしながら毎日を過ごしていた。河童年81歳の時に、姿を変えて人間世界でひと夏、過ごすことになる。そこで出会ったのが麻という少女。麻もまた家族のことではさみしいものを抱えていた。さて、そのひと夏はどんな風に過ぎたのだろう……。

八寸も麻の気持ちを、とにかく丁寧になぞっている。子どもだけでなく、周りの大人にもそのまなざしは届き、安心して読める。 人間のつかう言葉をもたない八寸と麻の交流するさまは「人間が戌や猫は人間以外の生きものの気持ちをどうやって理解しているのか(あるいはどうやって誤解しているのか)」と思う八寸の気持ちがそのまま物語になっているようだ。

声にしない言葉、目に見えないもの、耳に聞こえない音楽、そういうものが、くるりくるりと交わって八寸の物語、麻の物語になっている。

作者にとってデビュー作であるこの物語は第9回児童文学ファンタジー大賞(2003年)の佳作を受賞している。読みたいと思う作家がまたひとり増えた。

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コメント

shokoさん

コメントとご紹介ありがとうございました。その後、も読みたくなりますでしょう(^^)

こんにちは。
この本、やっと読みました。とてもよかったです。
記事自分ではかけなくて、こちらをご紹介させていただきました。

良い本を教えていただいてありがとうございます。

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» かはたれ [鋼鉄の心臓 琥珀の鼓動]
『かはたれ』 著 者:朽木祥 出版社:福音館書店 発行日:2005/10 この [続きを読む]

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