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2006.02.13

アイルランドの柩

アイルランドの柩
エリン・ハート著 / 宇丹 貴代実訳

農夫、ブレンダン・マクガンは冬場の燃料作りのため、泥炭の切り出しをしていた。しかし、その日彼が掘り出したものは、赤毛の女性の頭部だった。考古学者の手によって、その頭部がいつごろのものか調査を行うことになった。そして、事は頭部のみならず、別の失踪事件もからみはじめた……。

関わる人たちはそれぞれに重い過去を背負っていた。その背負ったものゆえに見えるもの、見たくないものがあり、時にそれと向かい合い、時に無視してきた。しかし、古い頭部が発見されたことで、また動き出したのだ。失踪した妻と子をずっと待つヒューゴ・オズボーンは物静かに存在感をもつ。考古学者コーマックと共に、この頭部の調査に無償でのりだした、解剖学講師のノーラのつらい思い出。アイルランドの音楽がなり、歌も流れるなかで、語られて明らかになっていく、これらのつながりがきれいにおさまっていく。登場する人物、それぞれの心理が巧みに描かれ、彼らの葛藤が伝わってきてせつなくなる。じっくり描かれた人の心を読んでいると、どの人物にも近しさを感じた。奇抜な設定やトリッキーな人物で読ませるミステリではなく、人の心理を丁寧に追い、事件の背景、解明をじっくり読ませるゴシックサスペンス、堪能しました。

訳者あとがきによると、著者は長編小説としては本書がデビュー作とのこと。エリン・ハート自身はアメリカで生まれ育ったが、アイルランドに惹かれ何度もおとずれるうちに、ボタン・アコーディオン奏者の夫と出会い、いまは夫婦でミネアポリスに暮らしている。

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