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2006.02.11

ミステリ傑作短篇集

ベスト・アメリカン・ミステリ スネーク・アイズ
ネルソン・デミル編 / O.ペンズラー編 / 田村 義進〔ほか〕訳






「ベスト・アメリカン・ミステリ」2004年度版の訳書。翻訳権の関係で原書より1作だけ少ない19編が収録されている。いずれもさすがの粒ぞろい。おもしろくておもしろくて、ページを繰る手が止められない。

「いい男が勝つ」(フレデリック・ウォーターマン/吉井知代子訳)は、飛行機の機内誌に掲載されたもので、舞台も主人公がエコノミー席に座るところからはじまる。計画的に選んだの席の隣にいるのは、結婚式を挙げた時に自分についてくれた付添い人である友人だ。彼はある問題を終わらせるべく、この席を取った……。腕利きのシェフである彼の、問題解決法が潔く、美味しいにおいをただよわせる。ワインが飲みたくなるラストです。

「美しいご婦人が貴方のために踊ります」(パトリック・マイケル・フィン/河野純治訳)も好み。主人公、レイ・ドワイヤーの人柄のよさに惚れます。

「隣人」(トム・ラーセン/坂本あおい訳)は、主人公は非常に壁のうすい部屋に住んでいる。訳ありでそのアパートを選び、近所づきあいはしない予定だった。だが、思うようにはいかない。なぜだか、ひとり、ふたりとしゃべるご近所さんができてしまい……。気持ちの移り変わりを楽しめる。

「鉄の心臓」(ジェフリー・ロバート・ボウマン/吉田薫訳)は南北戦争が舞台。戦争と殺戮を詩に編んで悦に入っていた将校、しかし終わらない戦を前にしてもはや書くことはやめてしまう。それから……。最後の冷たさにぞくりとした。

「ウェンディ・タドホープはいかにして命拾いをしたか」(ロブ・カントナー/田村義進訳)は、まさしくタイトルどおり、ウェンディがどのようにして命拾いしたかを、直接的に関わらない人たちをつらねることで明らかにしていく。するするとひもがほどけるような快感。

今回のゲスト編集者はネルソン・デミル。最新訳書は『ニューヨーク大聖堂』上下(白石朗訳/講談社文庫)で著者38歳の時の傑作長編。amazon.comではじまった、amazon connect でブログも読める。
オンライン書店ビーケーワン:ニューヨーク大聖堂 上 オンライン書店ビーケーワン:ニューヨーク大聖堂 下

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コメント

Chicocoさん

コメントありがとうございます。「バンク・オブ・アメリカ」もすごくよかったです。どちらも「ミステリマガジン」でも取り上げられていましたね(^^)

ラストの「グリーン・ヒート」の不思議な雰囲気も好みでした。さすがに、選ばれた作品ばかりなのでどれもおもしろい。すごくしあわせな読書でした。

さかなさん
いつもブログを拝読しています。すてきな本の紹介から、おいしい食べ物の話、かわいいお子さんたちの話まで、毎回更新を楽しみにしています。

今回は『スネーク・アイズ』をご紹介くださって、ありがとうございます。読者の声を聞かせてもらえるのは、とってもうれしいです。しかも「おもしろかった」といっていただき、ほっと胸をなでおろしています。ほかのかたの訳されたものは本ができあがってからはじめて読んだので、わたしも一読者としてすっかり楽しませてもらいました(^^)

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