晴々する。
楽しみにしている「図書」の隔月連載、Poetry talks(アーサー・ビナード)。今月のお題は「初めての太平洋」
ジョン・キーツの"On First Looking into Chapman's Homer"(「チャップマンのホメロス訳に出会ったとき」)をアーサー・ビナード氏が訳されている。
黄金に輝く世界で、私は旅を重ねてきた。大国や王国をいくつも見知って、いまも詩神アポロに忠誠な詩人たちの領土たる西方の島々を、(中略)
しかし、その澄んだ悠遠な空気を吸い込んだことはなかった――
朗々と語るチャップマンの偉業にふれるまでは。――出会ったとき、それは(c) Arthur Binard 「図書」岩波書店 2006年7月号より
キーツが20歳の時に、生まれて初めてチャップマンのホメロス訳を読み、逸話によると一気にこのソネットを書き上げたとアーサー・ビナード氏が紹介している。しかし、学者の中には、チャップマンのホメロス訳を不正確だとなじる人もおり、ビナード氏はそういう人は、おそらくキーツのこのソネットにある歴史的ミスも取り上げるのではと推測している。そう、このソネットには、太平洋を初めて眺めた人物名が歴史的には違うとされている。 ビナード氏はキーツの間違いについてではなく、キーツの表現に目を向けさせてくれる。 なんと晴々する言葉だろう。
キーツが表現しようとしているのは、未知のものに心を動かされたときの個人的な発見だ。そういう意味では、太平洋の発見は何度でも。
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コメント
きょんたさん
アーサー・ビナードさんのお仕事はいいですよね。この方の詩も好きです。詩的なものを訳されるのに本領発揮されますね。おっしゃるように、エッセイもすてきです。
「図書」では奇数月に連載されているので、ぜひ他の号をみてみてくださいね~。
投稿 さかな | 2006.07.05 17:41
ミアッカどんさん
こんにちは、読んでくださりうれしいです。
ね、すてきですよね。未知な発見は何度でも。そう、個人的な発見は何度あってもうれしい。私のつい最近の未知な発見は、民話の詩的さ、です。マックス・リュティが著作の中で、「世界は、民話の中で、恐らく初めて、詩的な魅力を持った表現を見出したことでしょう。」と言っています。私はこの「詩的」というところが少し実感をもてなかったのですが、柳田國男氏の『日本の伝説』を少し読んでいただき、伝説には詩的な魅力がなく(他の魅力はあっても)、民話のもつ詩的なものはないということが、すごくよくわかったんです。
茨木のり子さんは2月に亡くなられたのですよね。私は詩も好きですが、茨木さんの初めて書かれた評伝『うたの心に生きた人々』(金子光晴さんや山之口貘さんの評伝は特にすてき)を読み返しました。『詩のこころを読む』のようなアンソロジーもいいですね。もっといろいろ書いてほしかった。ものを紡ぐ人が亡くなられるとそういう思いを強く持ちます。
投稿 さかな | 2006.07.05 17:34
アーサー・ビナード氏のエッセイ、大好きです。人間とも、ことばとも、まっすぐ向き合ってて……
「図書」は近くの図書館にも置いてあるようなので、今度みてみます。
投稿 きょんた | 2006.07.05 12:15
さかなさん HP楽しみに読んでます。
一昨日、夫を駅まで送るのに久しぶりに車の運転をしました。ついでに書店に寄ってきました。 そういえば文庫コーナーに「図書」7月号が山積みされてたなあと思い出したところです。
>未知のものに心を動かされたときの個人的な発見だ。そういう意味では、太平洋の発見は何度でも。
これは素敵な文ですね、本当に素敵。だって、本当のことですものね、思わず書き込みしたくなってしまいました。共感できる言葉をありがとう。実体験も読書体験も、まだまだ、知らないことたくさんあるから、生きるって発見だらけってことですね。
書店では高見順の詩集と吉野弘の「詩のすすめ」(詩の森文庫)を買いました。が、驚いたのは茨木のり子の追悼詩集があったこと。茨木のり子さんはお亡くなりになっていたんですね・・・。
投稿 ミアッカどん | 2006.07.05 10:25