« ご飯 | トップページ | まめがら »

2007.01.14

去年の復刊

 矢川澄子さんの『わたしのメルヘン散歩』(ちくま文庫)が去年復刊されていたことを、先日ちくまのサイトをつらつら見ている時に知った。1977年に新潮社より刊行され、1987年にちくま文庫に入ったもので、解説は荒俣宏さん。私のもっているのは1987年初版の文庫本で当時380円。
 ローラ・インガルス・ワイルダー、エリナー・ファージョン、ヨハンナ・シュピーリ、ケート・グリーナウェイ、ルイザ・メイ・オルコット、ルーマー・ゴッデン、ビアトリクス・ポター、ジョルジュ・サンド、イーディス・ネズビット、セルマ・ラーゲルレーヴ、メアリ・シェリィ、ベッティーナ・フォン・アルニム、マーク、トウェイン、ルイス・キャロル、オスカー・ワイルド、ジュール・ヴェルヌ、ジョナサン・スウィフトをとりあげ、日本人では宮沢賢治と巌谷小波について書いている。12人の女性作家と7人の男性作家という割合。

 はじめて読んだ時から何度再読しても、一番最初にとりあげているローラ・インガルス・ワイルダーのこの部分は心に残る。

 趣味としての民芸と生活の現実そのものとを混同してはならない。ああ美しいディスタンス、である。ローラの世界が魅力的なのは、そんな現代人の憧れめいたこまごました道具立てのせいではない。このインガルス一家の物語に十年がかりで数々のすばらしい挿画をそえたガース・ウィリアムズは、その周到な実地調査のさいの思い出に記している。彼らが一冬をすごしたというプラム・クリークの土手の横穴の家は、「建築家の目からすれば、およそ人の住むにふさわしくない、換気も採光も行届かぬ、不健康で原始的な住居だった」と。しかし、そこですら、ローラのみずみずしい素直な目には、朝顔の花のアーチがよろこびの歌をうたって迎えてくれる美しい戸口の家でありえた。

« ご飯 | トップページ | まめがら »

おススメ本」カテゴリの記事

コメント

復刊のページを見て、思わず本棚から探し出しました。なつかしいです。メアリィ・シェリィも印象に残りました。わずか19歳で! とともに、数奇な運命にも。荒俣さんもメアリィ・シェリィのことで矢川さんとコンタクトをとったと解説に書かれていましたね。

>年を経ていきながら「本を読むこと」

ほんとうにそうですね。物語は物語として楽しむ面、作者の生い立ちから作品を見る面など、大人になってからまた違う視点を獲得でき、「読む」行為につながりますね。

矢川さん独自の視点で描かれた、作者たちの姿はどれも独特の印象が残りました。物語を読んでいくと、作者のことも知りたくなります。光吉夏弥さんの『絵本図書館』でも、世界の絵本作家たちの側面を興味深く紹介されていますね。

今江さんにはずいぶん影響を受けました。
復刊といえば、三輪滋さんと谷川俊太郎さんコンビの『おばあちゃん ひろち せんそう』も3冊合本になって昨年復刊していたことを知り、こちらもびっくり。これも今江さんのオススメで知った絵本です。

懐かしい本ですね。わたしも、最初にちくま文庫が出た時に買いました。
この本ではじめて『フランケンシュタイン』の作者が繊細な感じの若い女性だったことや、どんな物語かを知ったので、わたしはメアリィ・シェリィの章が一番強く印象に残っています。

ローラ・インガルス・ワイルダーは、高校の時に『長い冬』をストーブの前で堪能したのが最初です。この作品を松居直さんが絶賛しておられること、今江祥智さんは作中のネイティヴの人たちの扱いに疑問を呈しておられることなど、大学生になっておふたりの話を聞いて知りました。最近、ローラの父親について「放浪癖があった」という、困った人だったかもしれないという側面から書かれた記事を読み、年を経ていきながら「本を読むこと」はずっと続いているのだ、という実感を持ちました。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/9198/13493693

この記事へのトラックバック一覧です: 去年の復刊:

« ご飯 | トップページ | まめがら »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Google



  • ウェブ全体から検索
    ココログ全体から検索
    1day1book内検索