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2007年3月

2007.03.31

紙の仕事

オンライン書店ビーケーワン:おじいちゃんの封筒  雑誌「芸術新潮」2月号で紹介され、注文しなくちゃと思いながら日が過ぎ、ようやく手元に届く。 最初と最後に、この本を編むきっかけになったことがらや、紙の仕事をしたおじいちゃんが紹介されている以外、美術館の図録のようにひたすら紙でつくられた封筒の写真が写されている。 

 たたずまいの美しい一枚一枚の封筒は元大工であるおじいちゃんが80歳から95歳までつくりつづけた「紙の仕事」。使う道具の包丁、ペーパーナイフ、カッターは工程に合わせて使い分けられ、それらの道具もきちんと研ぎ、必要のない部分を消すための作業も怠らない。だからこその、素朴でいて品のある紙の仕事が完成されているのだろう。うっすらとうつる印刷文字から、私も日常で目にする包装紙や紙袋が見えてくる。見ても見ても飽きません。

2007.03.29

片づけ

 机まわりがあまりにもひどいことになっているので、午前中、紙類をじゃーじゃーとシュレッダーにかけて整理する。掃除機をかけるのを子どもが手伝ってくれた。丁寧に掃除機をかけてくれたので、いただきものの2000円の食事券まで吸い付いて「ぼくが細かく掃除したおかげだね」と自慢気にうれしそうだった。ありがとう。

 読んですごくよかった本のことをおいおい書く予定。すばらしい本を読めて、しあわせだなーと思う今日このごろ。

 友人にこれはいいよと勧められ、速攻で注文した『読書の腕前』。確かにおもしろそうです。すぐさま『桟橋で読書する女』を読みたくなってくる。

2007.03.28

気になる新刊

オンライン書店ビーケーワン:ぞくぞくぞぞぞ オンライン書店ビーケーワン:グッド・オーメンズ 上 オンライン書店ビーケーワン:幻想と怪奇の時代
オンライン書店ビーケーワン:猛毒動物の百科 オンライン書店ビーケーワン:ラリー オンライン書店ビーケーワン:ジュディ・モードの独立宣言
オンライン書店ビーケーワン:ハンニバル・ライジング 上 オンライン書店ビーケーワン:ねこくん、わが家をめざす オンライン書店ビーケーワン:パンダのシズカくん
オンライン書店ビーケーワン:まんがキッチン オンライン書店ビーケーワン:どれだけ読めば、気がすむの? オンライン書店ビーケーワン:理想的な結婚の後始末

2007.03.27

いろいろ

 書店に行くと読んでみたくなってしまう。「暮らしの手帖」も新しい号が出ていた。松浦さん編集長の2冊め。こんなときどうするのお題は「手紙」。作家山本夏彦さんに学ぶ、手紙術(?)のようなものを立ち読みしていると、手元に置きたくなってしまい、つつつとレジへ。

 手紙に使う便箋も封筒も無印の白いものが私のスタンダード。縦書きでも横書きでも使えるのが便利で、ここのところ、手書きの手紙は縦書きが多い。白い封筒に貼る切手選びも楽しい。

 あと、ツバメノートの記事、というか写真もきれい。パソコンを多く使って記録しているけれど、ノートもぜったい手放せない。ここらで立太罫のノートは見たことがないのに気づいて、とっても欲しくなる。

2007.03.26

オルチョ荒しぼり到着!

 あぁ、待つのは長かった。ようやく入荷したオルチョの荒しぼり。もったいなくて、今日はながめるだけ。明日使おうっと。アサクラさん曰く、暖冬だったので、荒しぼりとはいえ、味はかなりいいよとのこと。期待大。大瓶の方は早くも品薄気味だそうで、次は荒しぼりではないヌーヴォーが5月の連休明けに入るらしい。

 先日、古代小麦リガトーニでカルボナーラをつくったら、それはそれは美味だった! パンチェッタはもちろんないので、ベーコンでつくったのだけど、子どもたちも「これ、めちゃうま!」と感動していた。わが家だと、子ども3人で、このパスタ1袋はペロリという感じ。なので、こちらも追加注文中です。

 ということで、今日はふつうの夕ご飯。おからだんごの甘酢あん、こんにゃくの田楽、甘みそで。きりぼし大根のハリハリ漬け。五分つきご飯、おみそ汁(カリスマ豆腐、せり)。はじめて買ったカリスマ豆腐。やわらかく作ってあるので、なめらか食感。いつもは木綿豆腐ばかりなので、「なんかちがうねー」とすばやく子ども達が反応してくれました。

2007.03.25

アイデア

 雑誌「四季の味」が発売されているので、いつも置いてある書店数軒まわっても今月は入ってきていないとのことで、見つけることができない。取り寄せになるかな。「芸術新潮」も一軒目はだめだったけれど、二軒目で発見。ほっ。と思ったら、「アイデア」がきらきらと目に入ってきてしまい、結局、図書カードで購入。3000円近いお値段の雑誌なので、いつもながめるだけだったのですが、ヤン・チヒョルトの仕事の美しさはやはり手元においてゆっくり読みたいと思うのでした。別冊附録として「記号の変遷」もすばらしい。

2007.03.23

ブラウザの不調

FireFox を使っていたのだけど突然の不調のためアンインストール。いまはLunascape4 というのを使ってみる。Marine ツールバーがめごい。モード切替やデザインなどはまだ使いこなせず。

 パソコンの性能不足もあるのだけれど、セカンドライフもいまひとつ快適には使えず。

 総会準備にバタバタする日々は明日でまず一区切りの予定。読んでいる原稿もいまひとつ鉱脈にあたらず、うーん、ず、ばっかりだ。

2007.03.20

ご飯

 さて、本と食の日常。

『魔使いの弟子』が届く。タイトルに惹かれて、ページを開いたら閉じられなくて、一気に読了。うーん。おもしろかった。児童文学王道ファタジー。いまどきのにぎやかな展開からは一歩引いて、古典的な堅実さと、それでいて、やっぱりいまどきの味わいもある。なんといっても魔法使いではなく、魔使いというタイトルがすごくいい。

 それと、偕成社から4月に出るスェーデン絵本2冊もすっごくいい。おもしろい絵本を読めるのはしあわせだ。

 昨日、今日はお弁当。まんなかの子は体調をくずして家で休んでいたけれど、お弁当を少なめにつくったので食べてくれた。今日は一日学校で過ごせ、顔色もだいぶよくなった。昨日のお弁当はクリームコロッケ、ゆで卵のスライス、プチトマト、かぶの浅漬け、アスパラガスの煮びたし。ケチャップ味のウィンナー。今日は、焼売、塩胡椒味のウィンナー、かぶのオリーブオイル(スペイン バルデマラ社のアルベキーナ種)焼き、プチヴェールとチーズのマヨネーズ和え、きゅうりの浅漬け、厚焼き卵。以前、コメント欄で教えていただいた炒り卵の海苔巻きは、今回の前のお弁当でつくって好評。るるん。
 夕ご飯は、五分つきご飯、コーンスープ、豚肉の生姜味噌焼き、ほうれん草ソテー、胡瓜と春雨のりんご酢サラダ。

2007.03.19

気になる新刊

オンライン書店ビーケーワン:フランス父親事情 オンライン書店ビーケーワン:自主独立農民という仕事 オンライン書店ビーケーワン:この絵本が好き! 2007年版
オンライン書店ビーケーワン:ビッグTと呼んでくれ オンライン書店ビーケーワン:チャーリーとの旅 オンライン書店ビーケーワン:今日のデザート帖
オンライン書店ビーケーワン:サマーバケーションEP オンライン書店ビーケーワン:読書の腕前 オンライン書店ビーケーワン:アレクサンドリア四重奏 1

2007.03.18

ashes and snow

グレゴリー・コルベールの魅力(5・了)


 写真集や小説はイタリアで印刷、製本されている。本を覆うカバーは天然蜜蝋を引いたネパール製の手漉き紙が使用され、ハイビスカスの葉で染めた紐で結わえられている。読むときはまず紐をほどいて、写真や言葉と出合う。

 小説が刊行されたのは2004年。その後、何度か改稿され、英語版は第3版がショップに置かれている。日本語版はこの3版からさらに改稿されたものが底本となった。

 旅を重ね、動物と向き合い、グレゴリーは人間の目を通した世界だけではなく、「クジラやゾウ、マナティ、ミーアキャット、チーターたちの目を通して世界を見たいのです」と語っている。出合った多くの動物――ゾウ、クジラ、マナティ、アフリカクロトキ、オオヅル、イヌワシ、シロハヤブサ、ツノサイチョウ、チーター、ヒョウ、アフリカン・ワイルド・ドッグ、カラカル、ヒヒ、オオカモシカ、ミーアキャット、テナガザル、オランウータン、イリエワニなどが悠々と写真や映像(動画)、そして小説の中で生きている。
 おそらく私たちが暮らしている世界は、思っている以上にうつくしい。


二百二十二番目の手紙 ――

 ぼくたちにはみんなそれぞれ、自分に似た動物がいる、動物の顔がある。ワシの顔を持っている人もいれば、ヘビの人も、マナティの人もいる。

八十八番目の手紙 ――

 自然には、多様な眼差しがある。詩人や魔法使いは人間だけじゃない。ゾウの琥珀色の目をのぞきこむと、自分がかつて知っていたことをゾウは知っているんじゃないかという気がしそうだ。ゾウは、忘れたと思っていたことを思い出させてくれる。


 362番目の手紙は眠っているときに、王があらわれる夢が綴られている。王はフェニックスの話を語り、この世ですごす短い時の中で、自分の歌を歌うことができたものの名前をあげていく。


世に知られていようがいまいが、人間だろうがゾウだろうが、フェニックスはすべておなじダンスを踊る……。

羽は火に
火は血に
血は骨に
骨は髄に
髄は灰に
灰は雪に



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2007.03.17

沈黙

グレゴリー・コルベールの魅力 (4)

 ashes and snow の小説で、夫は妻に自分自身の生まれた時のことを語り、眠った時にみた夢のことを語り、ゾウやクジラの話をする。
 夢のなかではアステカの王、モンテスマがよく登場する。王は夢のなかで彼と川歩きを共にし、物語を聞かせる。

四番目の手紙 ――

「飛ぶ鳥の羽は空中になんの痕跡も残しはしない。飛ぶ鳥のごとく姿を消すがいい」

「一年のあいだ沈黙のなかで振り返り、過去が語るのを聞くのだ。鳥のルートとはそうしたもの、常に沈黙ではじまる」


十番目の手紙 ――

横になって眠っていると、夢のなかでモンテスマが、ぼくといっしょにタンガニーカ川の岸辺を歩いていた。「夢のなかでの川歩きは、眠りのなかに落ちてくる果実だ」と王は言った。「毎朝拾い集めて、ながめて、磨いて、においをかいで、皮をむいて、切り分けて、味わって、それから自分の感じたものを蒸留して言葉にするのだ」


 夢で川歩きの日々を過ごしながら、起きている時の旅は続く。手紙は過去に戻り、夢に入り、いまを過ぎていく。ここではないどこか――、時間の境界をゆるやかに越えながらの旅。

 展示されている写真には、どれもタイトルも説明もされていない。グレゴリーが、ただ作品と向き合い、対話してもらいたいと、制約を与えないようにしているからだ。それでも、小説を読んでいくと、読み手がそれぞれに受け取ったもので、また違う対話ができそうな気がしてくる。
 この展覧会はとても大きな幅がある。写真をみた時に受けるもの、映像(動画)から受けるもの、そして小説から感じたこと。小説のあらすじといえば、夫が妻にあてた手紙というシンプルなひとことだけになってしまう。夢が語られ、子どもの頃からもちつづけているゾウやクジラへの気持ち、それらをあらすじのなかにおさめることはむつかしい。
 それに、読むという行為はひとりでいることを要求する。ページを繰るのは読み手ひとり。これは写真や映像を美術館で複数の人に囲まれつつ、ひとりでそれらから受け取るのとはまた違う感情がうまれる。

 グレゴリーは小説の中でたびたび、言葉の不自由さを言葉で綴っている。

八十番目の手紙 ――

 カメラが曇りのない鏡になってくれることがある。カメラがあれば、光を集めて、書きあらわせないものをきみに見せることができる。カメラがあれば、ぼくは言葉から自由になれる。



八十六番目の手紙 ――

 ぼくの思い描く楽園には言葉はない。

 映像は、言葉とちがって、沈黙をやぶらずに沈黙について語ることができる。


続く

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2007.03.16

窓が開く

グレゴリー・コルベールの魅力(3)


 Ashes and Snow へ行かれた方は体感されていると思うが、美術館内は外気とかなり近い空気になっている。寒い時は寒いまま、これからの季節だと暑い時は暑く。それがグレゴリーの意向だというのは、作品世界により近づき、息づかいを感じてほしいからなのだろう。美術館という場所に置かれた時に感じる人工的な静けさとは無縁なそこでは、風が強い時はその音までも聞こえ、建物がふるえるのを感じる。私が訪れた時も、風の強い寒い日だった。12メートルもある、スリランカ製のティーバッグ100万個で作られた透けて見えるカーテンが風にぱたぱたとゆらめいていた。

 美術館に入ると、薄暗い照明の中、床は木の厚板で作られ、紙筒で作られた柱が美しくそびえ立ち、木の廊下の両側には、石が敷き詰められている。和紙に焼き付けられた写真は、細いワイヤーで吊され、照明があたった和紙までも独特のシルエットを残す。入ってまず、両側にある写真をみていき、つきあたりに映像を座ってみられる領域にうつっていく。9分の haiku 俳句と題されたショートフィルム2本と、60分のフィルム。ショートフィルムの方は、ショップで売られているDVDにも収録されていない。

 映像をみていると、写真で観てきたシーンが、今度は動く画像として鑑賞できる。だが、グレゴリーは動画は動画、写真は写真で撮っており、どの写真も、動画からのものはない。なぜこんな但し書きのようなことをパンフレットにも、そしていまここでも書くかというと、グレゴリーの撮るものは、信じられないような組合せのものなのだ。会場に入ってすぐ目に入るのが、少年が座って本を読み、その横でまるで同じような空気を共有するかのように、ゾウも座っている。
 映像でも、ヒョウがするりと少年の横を歩いたり、走ったりしている。かするとケガなどしないかしらと、世俗的な心配をしてしまうくらい、目の前で動いている人間やヒョウ、ゾウと人間という組合せにびっくりしてしまう。それでもじっと見ていると、不思議に見えていたものが、自然な姿に見えてくる。映像にもでてくる小説の一部を引用する。

 

 七十二番目の手紙 ――

 ――心は何年も窓を開けたことのない古い家のようなものだ。だがいま、窓が開く音が聞こえる……、ヒマラヤ山脈のとけかけた雪の上を舞うツルの姿が頭によみがえる。マナティの尾の上で眠った思い出が。アゴヒゲアザラシの歌が。シマウマのいななきが。アマガエルの合唱が。サン族の舌打ち音が。カラカルの耳が。ゾウが体を揺する様子が。クジラが水面に躍りでるさまが。オオカモシカのシルエットが。ミーアキャットのくるっと丸まった指が。ガンジス川を漂ったときのことが。ナイル川での帆走が。ダマヤジカ・パゴダの階段をのぼったときのことが。ハトシェプスト女王葬祭殿の廊下をさまよったときのことが。たくさんの女たちの顔が。果てしない海、何千マイルもの川が。二人の子の父だったことを覚えている。妻のことを。誓いを。彼女の指に指輪をはめたことを。ヴェールをめくったことを。キスを。ワルツを。ウィッシュボーンをひっぱったことを。ウェディングケーキの味を。蜂蜜のボウルに浮いていたハスの花びらを。ザクロを切ったことを。モモの皮をむいたことを。


続く
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2007.03.15

七番目の手紙

グレゴリー・コルベールの魅力(2)

 

 Ashes and Snow 日本語にすると「灰と雪」。なぜ、ashes and snow なのか。それは映像に流れるナレーション、そして小説を読むとよくわかる。いっきに、灰と雪まではたどりつけないので、少しずつ近づいてみる。

 言葉がなくても写真や、映像のみ、そして音楽で充分つたわるものはある。しかし、グレゴリーの小説は、映像作家が手すさびに書いたものではない。ゆたかな才能は、文芸にまでおよんでいる。

 

 この世のはじめには、大空いっぱいに空飛ぶゾウがいた。重い体を翼で支えきれず、木のあいだから墜落しては、ほかの動物たちをあわてふためかせることもあった。
                              七番目の手紙より 

 小説は手紙で綴られた形をとっている。旅に出た夫が妻にあてた365通の手紙。中には、風で飛ばされてしまったなどの理由でいくつか抜けているものもある。

 最初の手紙は「ゾウのお姫さまへ」と妻によびかけてはじまっている。旅の様子を語りかけるようなものであったり、神話を語っているかのようなものもあったり、眠っているときに見た夢の話だったり。なかでも、七番目の手紙はとても詩的なもので、小説以外の Little book 形式の写真集にも引用されている。グレゴリーにとってゾウは特別な動物で、なんだろう――、親友といってもいいのだと思う。展覧会でもゾウの写真は多く、大きな和紙に焼き付けられたゾウの目は忘れがたい印象を残す。

 

 八十番目の手紙 ――

  ゾウの目は、もの言わぬ愛の舌だ。

 

「人間と動物の関係を内奥から探求する」

これはグレゴリーが「Ashes and Snow」に着手した1992年に目指したことだという。写真を見ると、動物と人間の境界はかぎりなく取り払われている。同じ視線、同じところに立ち、泳ぎ、ダンスする。

 

 八十八番目の手紙 ――

  どうか守護ゾウたちが、自然のオーケストラの演奏家たち皆とつながりを持ちたい、というぼくの願いを、聞き入れてくれますように。ぼくはチーターの目で見たい。ゾウの目で見たい。ステップのないダンスに加わりたい。

  ぼくはダンスそのものになりたい。


翻訳はアリス・マンロー(『イラクサ』、『林檎の木の下で』(近刊))などの翻訳で知られている小竹由美子。

続く
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2007.03.14

鳥のルート

グレゴリー・コルベールの魅力(1)

 

 東京は六本木の森アーツセンター、お台場のノマディック美術館で開催されている「Ashes and Snow」。ひょんなことから、少し関わるようになり、先日どちらも見てきました。すばらしかった。何度も写真集を眺め、小説を読み、映像を見たけれど、やはり生で見る「Ashes and Snow」のもたらすものに深く感動した。

 会場では写真の他に、映像も流れ、オリジナルの音楽も流れている。写真をおさめている美術館そのものも見応えがある。このすばらしさを少しでも伝えるべく、グレゴリー・コルベールの魅力というか紹介をしてみたくなった。

「Ashes and Snow」はなんの展覧会?と聞かれれば、写真、映像、そしてできれば小説も読んでもらえると、それらのみごとなまでのコラボレーションされたものだと答えられる。大判の和紙に印刷されたセピア色の写真、大画面でみる映像、そして、会場に流れる音楽、そのいずれもが「Ashes and Snow」のためのオリジナルだ。写真単独の展覧会では決してない。場も空気も音もすべてがひとつのつながりを見せている。ただそれは、写真だけ見ることに深みをもたらさないわけではない。ひとつひとつを単独に見ても力が弱まることは決してないのだけれど、映像や小説も知った上でみると、いちだんと理解でき、心の深いところに届くものがあると思うのだ。

 さて、この展覧会のはじまりは、イタリアの都市、ヴェネツィアからだった。

「Ashes and Snow」を語る上で欠かせない、ノマディック美術館はイタリアではまだお目見えしていない。日本人建築家、坂茂がグレゴリーより直接手紙をもらい、何年も試行錯誤したうえで、作品をおさめる建物ごと移動できるという画期的なものを生み出した。

 とはいえ、イタリアのアルセナーレと呼ばれる15世紀の造船所跡でのエキシビションは、写真を見る限り、ノマディック美術館の原形のように思える。重厚でいて開放的、何よりグレゴリーの撮ったものとの相性がぴったりに見える。

 ノマディック美術館が初めて披露されたのは、ニューヨークのハドソンリヴァーパーク、54番埠頭で開催されたもので、その後、カリフォルニア州サンタモニカに旅の拠点を移し、現在の開催地である東京がノマディック美術館としては3か所めにあたる。

 グレゴリー・コルベールは1960年、カナダのトロント生まれ。2007年だと47歳。1983年、23歳の時にパリで、社会問題のドキュメンタリー映画をつくりはじめた。映画から芸術写真へ。32歳、1992年に初の展覧会「Timewaves」を、スイスのエリゼ美術館と、日本のパルコギャラリーで開催した。そう、15年前に、グレゴリーは日本で初の展覧会を開いている。残念ながらパルコギャラリーでは当時のカタログがないようだが、だからこそ、お台場のレセプションでグレゴリーは今回の「Ashes and Snow」が自分にとって故郷に帰ってきたようなものだと話をした。

 グレゴリーの作品は日本にゆかりのあるものが多い。建築は日本人の坂茂であり、水中写真は中村宏治も参加している。そしてあの美しい写真が印刷されているのは日本の阿波和紙だ。


続く

2007.03.13

気になる新刊

                                                                                                                                                    
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2007.03.12

いつまでも

白水社の出版ダイジェストが届く。メインのエッセイはいつも読みごたえがあり、もうひとつ、永江さんの愛書狂も楽しみ。今回は、ふかーくうなずいてしまった。

===============ここから引用======================================

 あればいいなと思うもののひとつが絶版・品切れ予告である。近刊予告があるのに、なぜ絶版・品切れ予告はないのか。書店で「お探しの本は絶版で す」「残念ながら品切れで重版未定となっています」と宣告され、悔しい思いをした人は多いだろう。「こんなことなら、もっと前に買っておくべきだった」と 後悔しても手遅れだ。

 切実度においては、近刊予告よりも絶版・品切れ予告のほうがはるかに大きい。いつになったら出るのかと待っているのは、苛立ち半分に楽しさ半分。 だがまだ手に入れてないあの本がもうすぐ絶版というなら、とりあえずは借金してでも買わねばなるまい。出版社によっては目録などに「残部僅少」と表示する ところもあるが、妙に遠回しな言い方ではないか。ストレートに「もうすぐ絶版」と書けばいいのに。もちろん現実には難しいと知っているが。

===========引用ここまで==========================================

 ゼイディー・スミスの『ホワイト・ティース』が絶版になり、『直筆商の哀しみ』もそうなってしまった。まだオンライン書店で在庫があるので購入はできるが、版元にはない。さみしい。イギリスではベストセラー作家のゼイディー。日本でもぜひそうなってほしい。

 

オンライン書店ビーケーワン:直筆商の哀しみオンライン書店ビーケーワン:ホワイト・ティース 上オンライン書店ビーケーワン:ホワイト・ティース 下

ホワイトティース復刊促進委員会はこちら ■■■
直筆商についても書かれていますので、ぜひのぞいてみてください。

2007.03.09

ビロードうさぎ

オンライン書店ビーケーワン:ビロードうさぎ

 「ビロードうさぎ」を初めて読んだのは、岩波の子どもの本『スザンナの人形』。この絵本では、2つの物語が一冊におさめられ、だきあわせの作品が「ビロードうさぎ」でした。絵は、ウィリアム・ニコルソンを模写したような高野三三男氏の絵がつけられています。“本物”になろうとしたうさぎの物語は、深く深く響くものがあり、ウィリアム・ニコルソンの絵で読めるようになった時はとても感動しました。

 このお話に魅力があるからなのか、いまや数種類の絵本で読めるようになり、今度、酒井駒子さんの訳と絵でも出るようです。

オンライン書店ビーケーワン:スザンナのお人形 オンライン書店ビーケーワン:ベルベットうさぎのなみだ オンライン書店ビーケーワン:ビロードのうさぎ

2007.03.08

asta*

070308_1 最近読み始めたポプラ社の小説誌「asta*」。PR誌扱いでの流通なのでお値段も手頃(200円/月)。PR誌は好きで立ち読みも含めて読んでいるのですが、文蔵の500円は特集がおもしろいで惹かれる時はあるものの、個人的には100円から300円前後くらいの値段が継続するにはうれしい値段。

 「asta*」は旬な作家の連載とともに、それぞれのイラストも個性的で目にも楽しい。書評鼎談の恋愛小説ふんいき語りはあらすじ漫画つきでいつも笑わせてもらってます。

 4月号のヒットは、楡井亜木子さんの「おれがはじめて見た、茜色の果実について」という読切小説。ピュアフル文庫で今月刊行される『はじまりの空』の外伝版のよう。男子の視点から恋のはじまりを描いていて、小気味よい文体でとんとん読ませて最後のオチで、お約束の胸キュンが。いま売れている有川浩『くじらの恋』の帯には「恋ははじまるまでが一番いい」(by北上二郎)という言葉あるけれど、そのはじまるまでのいいところが、ここでも描かれてよかった。これは『はじまりの空』も楽しみ。
 著者の楡井さんは、15年前にすばる文学賞でデビューされ、新刊は10年ぶりとのこと。ピュアフル文庫はなかなかおもしろいセレクト文庫なのだけど、書き下ろし長編はこの作品がお初らしい。ポプラ社グループのジャイブが出しているようで、佐藤多佳子さんの初期作品や、後藤竜二さん、あさのあつこさん、風野潮さんなど、児童書、YAでも注目作家がずらりと出ている。

2007.03.07

お弁当

 3月に入ると、いつもは給食の小学校もお弁当の日が5日ほどあります。今日がその日で、子どもたちは、お弁当箱やら水筒やらをうれしそうに見つめ、早くお弁当の日にならないかなとうっとりしています。

 毎日つくっているわけではないので、カンをよびもどさねばと、しばしお弁当本を読みふけり、少し早く起きてつくります。

 上の子は家庭科でクレープをつくるということで苺を準備していたので、赤色おかずはトマトに。まんなかの子は苺。にんじんのレモン煮。こんにゃくのピリカラ炒め、ウィンナーはケチャップ味で、ゆで卵はごま塩。ピーマンと長ねぎのカレー味炒めにツナマヨ入りのおにぎりふたつ。ひさびさに麦茶をわかして水筒に。下の子がお弁当食べたいとずっと言い続けていたので、彼女の朝ごはんはお弁当につめて、麦茶も水筒に入れて。3人満足のご飯タイムだったようで、帰宅すると「お弁当うまかった!」

 次は明後日です。さて、違うもの考えなくちゃ。
 夕ご飯は軽く具だくさんのお好み焼き(海老、ほうれん草、エリンギ、玉ねぎ、豚肉)。

2007.03.06

気になる新刊

オンライン書店ビーケーワン:シモンのおとしもの オンライン書店ビーケーワン:少年少女漂流記 オンライン書店ビーケーワン:くじらのうた
オンライン書店ビーケーワン:うどんの絵本 オンライン書店ビーケーワン:ハルさん オンライン書店ビーケーワン:須賀敦子全集 第7巻
オンライン書店ビーケーワン:現代語訳好色五人女 オンライン書店ビーケーワン:バッド・ツイン オンライン書店ビーケーワン:リスとお月さま

2007.03.05

夕ご飯

 五分付きご飯、おみそ汁(榎茸)、ひじきと切り干し大根のサワークリーム和え、チーズカツレツ、スティックブロッコリーの温サラダ(アサクラオイルがけ)、きゅうりの即席漬け。

 サワークリーム味がさっぱりこっくりおいしかった。上の子も、「この味、うまーい」と気に入った様子。「きょうの料理」でレシピを発見して以来、つくってみたかった一品なのだ。チーズカツレツもみなでとりあいの人気おかず。スティックブロッコリーは塩たっぷりのお湯でゆでて、アサクラオイルをかけただけ。ひたすらうまい。

 アサクラオイルはいまは店頭にあるだけのようで、東北だと青森や郡山にあるようです。とくに青森の野風パンやさんで買うと、一緒においしいパンを買う楽しみもあるとか。あと、古代小麦のパスタページではどどっとレシピもアップされているようです。私もすっかり古代小麦ショートパスタのファンになりました。
 オルチョも今月末には荒しぼりが入荷されるようで、とにかく待ち遠しいです。

2007.03.04

かがくのとも

 福音館の月刊誌が新年度になっています。月刊「かがくのとも」4月号は「みつけたよ さわったよ にわのむし」(澤口たまみ ぶん/田中清代 え)を買いました。

 田中清代さんの絵は、「みずたまのチワワ」以来、好きで追っかけるように読んでいます。月刊誌のお仕事は多数されているイメージでしたが、「かがくのとも」は初めてだそうです。うえきばちをひっくりかえした女の子が、その下にいるダンゴムシを見つけたことから、お母さんと2人で、庭にいる虫さがしが始まります。お母さんが子どもの頃によくさわっていた虫たちを、今度は娘に教えます。虫の絵はもちろん、女の子のそばにいるネコの毛並みもしっかりと美しく、聞いていたわが家の子どもたちも、「この虫知ってる」「ネコもかわいいねー」と楽しそうに聞いていました。

 ここ数年はダンゴムシなど、写真絵本で大きくきれいに撮られていて、図鑑のような楽しみもありますが、この絵本のように丁寧に描かれた絵で虫をながめるのもまた、おもしろく興味をそそられます。澤口さんの文章も読みやすく、お母さんと女の子のやりとりのストーリーとは別に、一匹一匹の虫についても短い説明をいれ、大人が読んでもへぇと思う実に知識を仕入れることができます。

 ところで、アマゾンさんでは福音館の月刊誌すべて買えるようになっていてびっくり。それと今日の発見は、福音館のシリーズ名の「こどものとも傑作集」も「こどものとも絵本」に変更し、『おおきなかぶ』など15点を皮切りに新規製版するそうです。あたらしくつくられた“子どもの本ブログ”のここここ に説明が書かれています。

2007.03.03

1000の星のむこうに

1000の星のむこうに
アネッテ・ブライ文 絵 / 木本 栄訳
岩波書店 (2007.2)




 見返しの紙がやわらかくて和紙のような風合い。そこに鉛筆のような素朴な線画で、祖父と孫、そして2人が好きなものだと思われるものが描かれています。わぁ、すてきと思わずを紙をなでなで。
 祖父と孫のあたたかくやさしいつながりが、これまたあったかい趣の絵に添えられて描かれます。見開きにはカラーの絵をふちどるように、落書きのような絵が囲むようにあり、物語との距離を親密にさせてくれ、心を楽しませてくれました。デリケートなことがらを愛情深く綴っていて、心に残ります。『エヴァはおねえちゃんのいない国で』を思い出しました。

エヴァはおねえちゃんのいない国で
ティエリー・ロブレヒト文 / フィリップ・ホーセンス絵 / 野坂 悦子訳
くもん出版 (2006.6)

2007.03.02

The Arrival


 すばらしい。
 作者 Shaun Tan のサイトで、少しこの本の中身も見えるのですが、実物を見ると、やはり実物じゃなきゃわからないすごさに圧倒されました。

 本のカテゴリは絵本ではなく、グラフィック・ノベル。サイトのコメントを読むと、絵本にくらべるとまた違う可能性を感じたようです。特にレイモンド・ブリッグズの絵本『ゆきだるま』には、"The Arrival" の構想をねっていた時に多くのインスピレーションを得たと言っています。文字のまったくない"The Arrival"も、コマ割りの絵を多用し、饒舌に物語をつむいでいます。そして、コマ割りからふいに見開きいっぱいシュールな世界が展開され、よりいっそう引き込まれるのです。

 ここに描かれた移民たちの物語は、特定の国や言語を用いずに見知らぬ国での生活や人々をみごとにあらわしています。表紙にも登場しているこの不思議な生き物も存在感たっぷり。色彩は、モノクロからセピアに変化があるくらいで。一定のトーンでさまざまな人の表情、住むところ、食べ物、生き物が描かれ、静かなラストへのもりあがり、そして次につながるラストに、たっぷりの余韻が残りました。これは、手元に置いて何度も読む本になるでしょう。少し古めかしいつくりの大判な形が物語にとてもよくあってます。

 アマゾンより、The Book Depository (送料無料!)の方が安くて早いかも。ここもよくチェックしていると£10以下になる時があるのです。

2007.03.01

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