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2007.03.14

鳥のルート

グレゴリー・コルベールの魅力(1)

 

 東京は六本木の森アーツセンター、お台場のノマディック美術館で開催されている「Ashes and Snow」。ひょんなことから、少し関わるようになり、先日どちらも見てきました。すばらしかった。何度も写真集を眺め、小説を読み、映像を見たけれど、やはり生で見る「Ashes and Snow」のもたらすものに深く感動した。

 会場では写真の他に、映像も流れ、オリジナルの音楽も流れている。写真をおさめている美術館そのものも見応えがある。このすばらしさを少しでも伝えるべく、グレゴリー・コルベールの魅力というか紹介をしてみたくなった。

「Ashes and Snow」はなんの展覧会?と聞かれれば、写真、映像、そしてできれば小説も読んでもらえると、それらのみごとなまでのコラボレーションされたものだと答えられる。大判の和紙に印刷されたセピア色の写真、大画面でみる映像、そして、会場に流れる音楽、そのいずれもが「Ashes and Snow」のためのオリジナルだ。写真単独の展覧会では決してない。場も空気も音もすべてがひとつのつながりを見せている。ただそれは、写真だけ見ることに深みをもたらさないわけではない。ひとつひとつを単独に見ても力が弱まることは決してないのだけれど、映像や小説も知った上でみると、いちだんと理解でき、心の深いところに届くものがあると思うのだ。

 さて、この展覧会のはじまりは、イタリアの都市、ヴェネツィアからだった。

「Ashes and Snow」を語る上で欠かせない、ノマディック美術館はイタリアではまだお目見えしていない。日本人建築家、坂茂がグレゴリーより直接手紙をもらい、何年も試行錯誤したうえで、作品をおさめる建物ごと移動できるという画期的なものを生み出した。

 とはいえ、イタリアのアルセナーレと呼ばれる15世紀の造船所跡でのエキシビションは、写真を見る限り、ノマディック美術館の原形のように思える。重厚でいて開放的、何よりグレゴリーの撮ったものとの相性がぴったりに見える。

 ノマディック美術館が初めて披露されたのは、ニューヨークのハドソンリヴァーパーク、54番埠頭で開催されたもので、その後、カリフォルニア州サンタモニカに旅の拠点を移し、現在の開催地である東京がノマディック美術館としては3か所めにあたる。

 グレゴリー・コルベールは1960年、カナダのトロント生まれ。2007年だと47歳。1983年、23歳の時にパリで、社会問題のドキュメンタリー映画をつくりはじめた。映画から芸術写真へ。32歳、1992年に初の展覧会「Timewaves」を、スイスのエリゼ美術館と、日本のパルコギャラリーで開催した。そう、15年前に、グレゴリーは日本で初の展覧会を開いている。残念ながらパルコギャラリーでは当時のカタログがないようだが、だからこそ、お台場のレセプションでグレゴリーは今回の「Ashes and Snow」が自分にとって故郷に帰ってきたようなものだと話をした。

 グレゴリーの作品は日本にゆかりのあるものが多い。建築は日本人の坂茂であり、水中写真は中村宏治も参加している。そしてあの美しい写真が印刷されているのは日本の阿波和紙だ。


続く

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コメント

hiroeさん

 はい、はじまりました。グレゴリーさんの意向であえて空調設備はないので、寒い日はあたたかい格好で、暑いときは薄着で行かれてくださいね(笑)。映像は60分もの、9分2本とあるので、たっぷり時間をみていくのが吉かと。ショップでは小説や写真集が手にとってみることができるようになっています。行かれたらぜひ感想お聞かせくださいね。


上野さん

 確かに、整えられた環境でみるよりも、自然に近い形でみるほうが写真や映像と近づけるかもしれませんね。グレゴリーさんが動物たちと近づいているように、観るものも、作品に近づくというか。ほんとうに、グレゴリーさんのつくるものの方向はきちんと定まっているのだなぁと思いました。

わあ、アップしてくださったんですね!
続きを楽しみにしています!
ちょこっとネットで見つけた感想で、お台場展、風の強い日で写真がゆらゆらはためいていたのがとても素敵だったと。「天気もコンセプトのうち」というグレゴリーさんの目論見、あたっているのかもしれません。

さかなさん、こんばんは。ついにお台場始まったのですね!私も見に行きたいと思います。長くやっているのでうれしいです。さかなさんのエントリを読んで、さらに楽しみになりました。

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