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2008.03.08

いろいろ

ユリイカ 2008年3月号 特集=新しい世界文学
青土社 (2008/02)
売り上げランキング: 4472

「ユリイカ」をなかなかじっくり読めないのだけれど、桜庭一樹さんが、「世界文学」から「文学世界」への鼎談(若島正×管啓次郎×桜庭一樹)の中において、私の三冊にマンローの『林檎の木の下で』をあげていて、うれしくなった。『イラクサ』とはまたテイストの違う、自らの歴史、血族を描いた連作短編集は昨年のマイベスト本の一冊。

この鼎談のあとの記事「新しいブーツとすり切れた批評 現代英語圏小説における資本と倫理」(武田将明[著者blog Link])を読んでびっくり。2007年度のブッカー賞を受賞したアイルランドの作家アン・エンライトの賞金の使い道と、ブッカー賞候補作に選ばれる前の作品が売れていた部数は、834部だけだったこと。候補になり、見事受賞し、会見の日までに売れたのがトータル3252部。(追記)ブッカー賞の効果で250倍もの売上があったという。(誤解を生む書き方でした。引用するとこのように書かれていました。「二〇〇五年に受賞したジョン・バンヴィル『海に帰る日』は二五万部に達したそうだから、ブッカー賞を獲ることはエンライトにとって250倍の売り上げを意味すると言ってもよい」>ご指摘ありがとうございました、武田様)4冊のフィクションを書いていた中堅作家の新作も、賞の前には1000部に届かないという記事には、うーん、うーんと呻ってしまう。この記事がおもしろかったのは、売れないのはなぜ?という読み手の私の気持ちを見透かしたように「しかし、自力で千部も売れないなんて、単に詰らないからではないか、と疑って読んでみると、決してそうではない」と続くところ。知りたいことが的確に書いてありました。でもでも、小説は、売れないのだなあ。ゼイディーの作品がベストセラーになる国でも、なのですね。

→武田様より教えていただいた Guardian の記事[Link]

ここしばらくの読書本は、『熱風』。めずらしくも地元の書店にあったので即入手、読了、感想は後日。『マイカのこうのとり』はドイツの児童文学。ラストには、ほうっとため息が出た。いせひでこさんの挿絵もすばらしい。『新世界より』上下巻一気読み。読ませます。本筋ではないが、人間と同じ数の染色体をもつのがオリーブの木だということを初めて知った。よしながふみの『きのう何食べた?』1巻もようやく入手して読む。炊き込みごはんを食べたくなりまする。ごぼうの入った炊き込みごはん、美味しいんだよなあ。

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コメント

roshroshrosh さん

日本でも、芥川賞や直木賞をとれば、部数はぐぐっとのびるので、ブッカー賞と質的なものとかを比べるのではなく、部数(売り上げ)をのばす賞がなくもないと思います。

小説家を生み出すために新人賞も機能していますし、(もちろんそういう賞がなくてもデビューできる作家はいますね)、個人的には、もっと海外翻訳小説が日本で需要をのばすといいなあと希望しています。でも今日は「文學界」4月号のおもしろい座談会も読んだので、日本の小説も読まなくちゃモードに入ってます。

この記事はびっくりしました。アン・エンライトを知ったのはたしかにブッカー賞を介してです。受賞作品は今読んでいるところですが、ガーディアン紙に載っている彼女のエッセイなどを読んでいて、文体も美しく、読みやすく、優れた書き手だと思いました。にもかかわらずこれほどまでに売れていなかったとは!
本をめぐる世界は案外どこも一緒なのかもしれません。英国にはブッカー賞があるからいいけれど、翻って日本では……

タケダさま

ご指摘ありがとうございます。ジョン・バンヴィルの方だったのですね。記事の方、修正しておきます。また Guardian の記事リンクもありがとうございます。いずこの国も小説を売るのは大変なんだなと、タケダさまの記事を大変興味深く読み返しています。記事の出だしのインパクトが強くて、とてもおもしろく読みました。最終候補作の寸評も参考になります。ピップは下馬評が高かったので、記事での寸評が新鮮でした。

ご興味がおありのようなので、エンライトほか、今回のブッカー賞小説の販売部数については、下記のURLを参照ください。
http://www.guardian.co.uk/uk/2007/oct/17/books.booksnews
25万部売れたのは、エンライトの小説ではなく、その2年前にブッカーをとったジョン・バンヴィルの『海へ帰る日』です。ここからの類推で、今後同じくらい売れれば250倍の売り上げになるだろう、と書きました。
以上、ご参考まで。

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