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2015.11.29

2015/11/29の覚え書き

「肉声、肉筆、そして本」がテーマのただようまなびや2015、2日目。

2日目は気分的に何もかも楽です。
昨日が長女で、今日は次女になった気分なのです。
まずなぞる。
朝7時に起きて、洗濯機をまわし、つれあいにコーヒーを入れて、駅まで送ってもらう。
同じ車両の前で並び、狙った席に座り、郡山に到着。
自分用にコーヒーを買って、駅ナカの書店で買った「新潮」12月号で昨日のワークショップがすばらしかった華雪さんの文章を読む。すばらしい。

本日の授業構成はほとんどがワークショップ。
選んだのは、柴田元幸さんの翻訳「文体練習」。
レーモン・クノーの『文体練習』のようなことをする予定とある。予習は本そのものじゃなくてもいいから、アンサイクロペディアでその箇所を読んでくること。プリントアウトして行きの電車で読む。
お題「古池や蛙飛び込む水の音」
英訳されたさまざまなバージョンを柴田先生が解説される。
そして生徒それぞれの好みの英訳を確認。
私が選んだはカーカップ。

次。
いろんなバージョンでこの句を訳す。時の首相風、みつを風、山頭火風、NHKニュース風、絵日記風(絵もつけて)。
私はカーカップの英訳をまた日本語に変換を試みる。
英語能力は問わないとこのワークショップではあったものの、参加者のほとんどは英語に精通している様子。加えて日本語から日本語への翻訳の時、まわりの筆圧の音、音、音。自分が何も思いつかなく頭の中が真っ白。家に帰りたくなる気持ちをなんとかおさえて、書き上げる。
はぁ。

それにしてもすごいのは柴田先生。
全員に実のあるコメント。書き上げたものには肉筆コメント。
先生です。

話は少し飛ぶと、ただようまなびやは朝のHRから帰りのHRまで公開され、
職員会議さながら、当日の授業を講師が受講していない生徒に向かっても説明してくれる。
「ただようまなびや」は学校です。2日間だけ開校される学校。
学校長は古川日出男さん。

教育については、先日地元の大学講座でも感じるところが多々あり、(すみません、ここから文体変わります)そんな時にHRでは「学校は規範から外れないことを教える場所」と否定的にも聞こえる意見が出ると、そうなのか、知識を教えるのは不要なのかという問いが生まれ、どちらも否定することはなく、いずれの意見も刺激しあうという面白い場面に立ち会えるのです。

そんな場で、特別シークレットゲストである村上さんが「いい先生に出会えたら学校は有益な場になる(大意)」と仰います。同感です。しかし、教職側にも言い分はあるでしょうが、その確率は極めて低いと3人の子どもを学校に通わせて思う母心。現在進行形で私はいま学校に大きな不信感をもっているのでなおさらです。それはさておき。

生意気な大学生ボーズがいいます。「俺たちを大事に思ってくれてたらそれは伝わるんだよね。でも最近の先生は生徒より自分が大事がみえすぎて先生辞めて他の仕事ついてほしいとマジ思うよ」

柴田先生、2日間、それも私などはたった一回の授業を選択しただけなのに出し惜しみしません。拝みたくなります。

学校長である古川さん、副校長の柴田さんが、生徒への愛を出し惜しみしないのですから、担任の先生方もそれに自然とならってます。

次の授業は川上未映子さんの「たけくらべ」。樋口一葉ラブが伝わる「たけくらべ」のあらすじ語りをする川上さんはもうめごいのなんの。

樋口一葉、100年後に自分の作品をこれほど熱く語られてることを想像したでしょうか。

日本語を日本語に翻訳するおもしろさたっぷりの1時間半はあっという間。
柴田先生の授業で脳みそ使い果たしてくたくただったにも関わらず、時間がたつごとに覚醒してくる、ああ、おもしろい。

そして最後の授業は朗読とディスカッション。
川上さんは自分の詩を読み、
古川さんは訳した平家物語を。
村上さんは自分の短篇「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」2015年11月29日バージョンを。
それからディスカッション。
想像力について。
豊崎さんがいう。
「想像力は善のみなのか」(大意)。
「コントロールできないと、想像力は悪に向かうしかないのではないか」(大意)。
村上さんがいう。
「危険だからこそおもしろい」(大意)。

どの場においても、二択から選ばない答えらしきものが提示されるのだ。
これがうれしくおもしろいはずがない。

ここではないどこか。
わからないことのベクトルの先。

まとめはいらない。(大意)と古川さんは仰った。

あえてまとめないまま、こたえはすべて参加者の脳みそにゆだねられ、幸福な解散。


しあわせとはこういう日のことをいう。

と、ついまとめたくなる。





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コメント

NONさん

わたくしごときが言うまでもありませんが、小説を書くべく力のある言葉をいっぱいたくわえている方だと思いました。同時代の作家の肉声が聞けるのは贅沢でうれしいです♪

『職業としての小説家』気になっていました。やはりよまなくては。
(ここにくると、やっぱり読みたいものがたくさんでてきてしまってこまりますううう)
わたしも村上さんはおっていなくて、むしろ限りある時間のなかでの読む選択肢にいれていなかったのです。でも、いろいろときこえてくるものですから、やはり時の人もとい、時代の人のきちんとした肉声をきいてみないといけないと思っています。

NONさーん

場の共有共感、ありがとうございます♪ 一人カキフライの話は、まったくもってツカミのうまさよ、とうなるばかりの村上さんなのです。煙に巻くようでいて、きちんとオチもある。村上さん物語をそれほど追っかけていない私なのですが、今年は、毎年恒例の児童文学新人賞授賞式で、編集者のお一人から刊行されたばかりの『職業としての小説家』を、自分の版元作品ではないのにも関わらず――めちゃくちゃすすめられ、帰りの新幹線に乗る前に駅ナカ書店でゲットして読んだのです。それがとってもよくって! 表紙が氏のポートレートだから、よけいお顔の印象強くて、遭遇した時に、ん?本の表紙の人だ!と(笑)。

柴田先生はすてきすぎて、生肉筆コメントをついすりすりしてしまいます。いまミーハーにファンですわ(^^)

村上さんがシークレットゲストで郡山にきてカキフライの話(あ、フライは、またしても空さん情報です)をしたというだけでも十分に驚愕ですが、さかなさんがふいに遭遇というので、もう悶絶しました。なんだかすごいことをきいたなあ。しあわせだなあ。元気でそう。

もちろん、二日目の余裕がでてきたさかなさんレポートは、うらやましさに悶絶しながら拝読しました。柴田先生、すてきですよね。「新潮」、外出中の夫にたのんで買ってきてもらおう。

空さん

そうなんです。村上さんそっくりをみているのか、とずいぶん自分を疑いましたが最後にやっぱり本人とわかって満足。けれど、まなびやが解散するまでそれはシークレットということになり、家族にだけうちあけましたわ(笑)。柴田さんも川上さんも知らないつれあいも村上さんは知っていましたし。

あれやこれやと話ができるリア友の空さんがが隣にいて欲しいです~

えーっ!!!スタバの前で村上さんに遭遇って、そ、それ、マジですかっ!?!? 

いやあ、あれもこれも、ますます、すぐにでもさかなさんのところへ駆けつけて、「尽きぬ話」を伺いたいものですわん。

肉声を聴くというのも、大切なことですねえ。。。

空さん、引き続きのコメントありがとうございます。

シークレットゲストの事を何も知らずに、授業の合間にコーヒーを買おうとスタバに行ったら、店の前に村上さんがいたんです! えっ、私の見間違い?? ここ、どこだっけ??と思っていたら、その日の帰りのHRで古川さんから来ていることを知らされ、また、川上さんのワークショップにはコメンテーターもしたと聞き、やはり私の見た人は村上さんだったのだと納得したのでした。

地元高校生15人とも対談したそうで、そこでもやっぱりシークレットゲストだったらしく高校生たちびっくりしていたそうです。

でも川上さんのワークショップでは村上さんを知らない人が「あなたはどなた?」と本人に聞き、本人しれっと「村上龍です」と名乗ったという。

しかしながら、講師の先生方はどなたもみんなすばらしかった。残念ながらどうしてもプログラムの構成上、受講できなかった開沼博さんの話をまたいつか聞いてみたい。HRでのディスカッションのみ聞けたよどみない話しぶりに、もっと聞きたかった!と思わされました。

ああ、話は尽きませぬ(笑)。

そしてこうして、さかなさんのまとめが読めるしあわせ♡ こういう催しに出会えたことに、さかなさんと本との絆の深さを感じます。

にしても、シークレットゲストが村上さん! 本当に贅沢な「まなびや」だったのですねえ。柴田先生が「先生」であることにも、深い感銘を受けました。

素晴らしい時間のお福分け、ほんとうにありがとうございます!

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