自叙伝
昨日、ウォルター・ディーン・マイヤーズの自叙伝『バッドボーイ』を読了。
今日は、アルバート・フェイシーの『バートの旅』を読了。こちらも自叙伝。
少し前に読んだ『この道のむこうに』は作家ヒメネスの自叙伝。
断続的に読んだこれらの作品。
どの著者の反省も苛酷な状況の中、生きのびてきたことが書かれている。
そして、そのどれもに、ひだまりのようなあたたかさも。
『バッドボーイ』では、マイヤーズが階段をのぼるように、一段一段、乗り越えなくては前にすすめないことをクリアしていくさまが非常に丁寧に書かれている。成績がよかったけれど、けんか早く、先生に反抗的。その成績のよさも、スポーツができることも、黒人差別の壁に何度となく立ちふさがれ、棒立ちのようになる。ノルウェイの昔話『太陽の東 月の西』を楽しんで読んだこと、コールリッジの「老水夫行」で詩の奥深さを知ったこと。どの局面でも本が彼を助けていた。読めるということはすばらしいことなのだとあらためて思う。そして書くことも。
『バートの旅』では、8歳から働きはじめ、さまざまな職を経験したのち、市議会議員までなるが、職を得るのに苦労したのは、学校に行っていなかったこと。独学で必死に読み書きを覚え、晩年、妻のすすめで退屈しのぎに自叙伝を書いたという。妻の助言を得て句読点やスペルをなおし、妻を亡くしてからは編集者に訂正してもらった。そういえば、ウィルソン・ローズもそうだったということを思い出す。『ダンとアン』も『サルたちのおくりもの』はすごくいい。
『この道のむこうに』は、不法労働ゆえにあちこちを渡り歩く生活をしているミグラント・サーキットが描かれる。この生活から逃れるためには、読み書きの力だ。どうやって文字を覚えていくか、書くことを学ぶか。それが次の生きていく道に直接つながっていく。
教育ということが、生きながらえるために切実に必要。
読むこと、書くこと――。
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