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2004.01.09

わたしのメルヘン散歩

何かの調べ物で、長らく本だなで眠っていた『わたしのメルヘン散歩』(矢川澄子著・ちくま文庫・品切れ)をとりだしてから、近くに置いているせいかちょくちょくページを繰っている。

『宝さがしの子どもたち』を書いたネズビットのことをこう書いている。

魂の奥底をつめたい風のぞっと吹きぬけるような、よるべない孤独、ひとりぼっちの冒険。それこそは、ネズビットの本能的に忌み斥けるところなのであった。というより、少なくとも少女イーディスの人格形成には、そのような痛切な体験ははじめから関係してはいなかったのだろう。彼女は終始、同胞との相互理解のもとに守られてあったのだ。もしもそういう切実な孤独の思いがあったとすれば、これほどのストーリーテラーとしての才能に恵まれていた彼女が、とてもこの分野だけにおさまっていなかったはずである。

某掲示板で教えていただいて知った芥川賞候補作品に、金原ひとみさんの「蛇のピアス」。さっそく雑誌「すばる」11月号で読んだ(この作品はすばる文学賞を受賞している。どうしても書かれてしまうであろう、彼女の経歴(?)を作品を読む前に目にした時は、そこだけでもクローズアップされやすいなぁと正直かまえてしまった。「蛇のピアス」は読ませる力はあるが、雑誌で評者が書いているように、ラストがとんとんとまとめあげられているのが、ちょっともったいなかった。さて、どの作品が芥川賞をとるでしょうか。

 ちなみに、すばる文学賞の評者のひとりである辻仁成は一読して、今年の受賞作は「蛇にピアス」だな、と思ったと書いている。そしてこうしめくっていた。

作家は書かなければならない。書けないやつはいくら偉そうなことを言っても、「はい、さいなら」がこの世界の掟。いや、まことに恐ろしい世界である。厳しい世界へ、ようこそ。

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