詩集
数年前に「なにかオススメの詩集はありませんか」と、とある人に聞いて教えていただいたのが『モー将軍』。
税別2200円という詩集を何かでもらった図書券と現金で買い求め、つれあいにもみせると「いい買い物だね」と言ってくれた。帯にもあるように「あとがき」で詩人はこう言っている。
司馬遼太郎さんがどこかで、幕末までの日本には「絶望」という言葉がなかった。だからひとびとは「絶望」というかわりに、「困った」と言っていたと書いています。
詩人は、この詩集を読んで「困った」という呟きを聴きとってほしいと願っているようです。が、しごくまっとうな正当派の詩集を読むと、「困った」よりは「うーん、いい」という呟きが読み手の私やつれあいからこぼれでます。
モー将軍 まず始めに記しておきたいのは
あなたが草を食むときのあんなに優雅な顎のこなし
首筋に一本優れた幹のような頸動脈があらわになって
あなたがゆっくりゆっくりと咀嚼するたびにぼくたちは
地球が回っていることの確かな手応えを感じたものです
『モー将軍』より「モー将軍」一部引用
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