はなのすきなうし
のんびりした気持ちになれる絵本はいい。『はなのすきなうし』もその1冊。物語をうけとったローソンは、2、3か月ちょくせつ物語の絵を描くことはせず、ひたすらスペインの風景や建築を勉強したという。それは雄牛の解剖学や、闘牛、闘牛士たちの衣装にまで及んだ。作品を書いたリーフは「ある雨の日曜日の午後、40分で」書き上げたそうだが。そして、この作品は世に出て売れに売れた。絵本から映画に、そしてさまざまなグッズのキャラクターに。1936年9月11日初版の絵本。
という背景を知らずに、ただゆったりと牛のフェルジナンドを追うのがいい。ゆうゆうとのどかに、花を愛する牛。ちょっとした勘違いから、大きな闘牛場におくりこまれるが、たくさんの見物人をみられていても、その見物人がさしている花のにおいを堪能する。たとえ、自分以外の牛が花を好きじゃなくても、フェルジナンドはさみしくない。好きなものは好き。そしてその好きな花の近くで暮らしたいとしごくまっとうに望む。
いっしょに子どもらと読んで、彼らはころころ笑いながら聞き、どこがおもしろいと具体的には語らない。定期的に読んでといって持ってきたり、私が読みたくてもってくると、「あ、いいね」と言う。
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