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2004年5月

2004.05.30

週末のごはん

今週、来週は子ども関係の行事や用事がないので、久しぶりに目覚まし時計のいらない朝。しかし、ごくあたりまえに子どもたちはふつうに起きる。つれあいはなかなか起きないので、最初に起こそうとするのは私だ。前日に、あたらしいままごとセットを購入したちぃは枕元にもそれを置いてねむり、起きてすぐ、フォークとスプーンをもって「ごはんですよぉ」と爽やかに起こしてくれた。ふぅ。一昨日に話をした人が、サンドウィッチをつくったことをいわれていたので、週末はサンドウィッチをつくろうと思っていた。つれあいにお願いしてパンをつくってもらい、ちぃに起こされた私はゆで卵をつくり、卵サンドウィッチを作成。庭で朝ごはんにしようという子どもたちのリクエストにこたえ、簡単に栗の木の大きな漆ボウルにサンドウィッチをどさどさいれ、オレンジジュースと牛乳をもって庭で朝食。美味、美味。昼食は冷や麦。コロッケと、きゅうりの浅漬けをおかずに750gをペロリ。夕食は昼食が遅かったので、軽くお弁当っぽいごはん。小さめにおにぎりをつくり、ミニグラタン、ごぼうコロッケ、卵焼き。お弁当大好きのまんなかの子どもが大喜びしてくれた。大人のおにぎりは高菜漬けをまぜあわせたもの。日曜日、子どものリクエストで朝食はホットケーキ。メープルシロップたっぷりにあとは牛乳。昼食は大根そば。大根をなます切りしたものと同量のそばをゆで、つゆをかけ、薬味は細ねぎ、しょうがのすりおろし。大人はわさびも。おかずは大根の浅漬け、きんぴらごぼう、青のり入り卵焼き。夕食は、ごはん、お豆腐のおみそ汁、大豆の豚肉入り煮、ひじきとにんじんの煮物、ごぼうのオイスター炒め。子どもたちはごはんをおかわりして、大豆おかずをパクリ、パクリ。これが一番人気だった。

2004.05.29

元気なモファットきょうだい

エレナー・エスティスのモファットきょうだい物語は3冊あるが、しばらく入手しにくい状況だった。それが、久しぶりに岩波少年文庫でお目見え! 3部作最後の『すえっ子のルーファス』がおよそ9年前に出ている。やった。きっと続けてモファットシリーズがでるに違いない。イラストはルイス・スロボドキン

2004.05.28

残花亭日歴

残花とは散りのこった桜をいうそうだ。田辺聖子さんが、人生で劃期的な日々とした平成13年6月からの日記が『残花亭日暦』。はじめにの出だしがおもしろい。

日記というものは、なぜか〈愉しかりし年月〉のことは書かず、〈面白からざる歳月〉〈憂憤晴れやらぬ日々〉〈志を得ずして怏怏失意の累日〉について熱意こめて書くようである。
ふきだしてしまった。続いて『蜻蛉日記』をひき、千年後の読者としてはここにでてくる夫は人生多事多端のなか、よくやっている方だと思うのだが、妻はそう思わず(もっと、もっと)と思い、綿々たる恨み、不足ばかりが綴られていることを紹介している。時折夫の尽力も書いていても、メモ程度で2~3行程度だという。またまたふきだしてしまった。さて、当のこの日記では、
『蜻蛉日記』風でなく業務連絡帳風でもなく、〈よいことばかり あるように日記〉でもなく
書いたとある。読了。おもしろかった。ひさしぶりに時間を忘れて読みふけった。誰の言葉もまるで声が聞こえるがごとし、ぬいぐるみたちの会話もしみじみと愉快。田辺さんを読もうと思ったのは、集英社から全集がでるときいたことから。この全集に小倉遊亀の作品が挿画として使用されていることを知り、がぜん作品を読んでみたくなっていた。そこにぽんとこの本が図書館の棚にあったので借りてきた。うれしい出会いにるるん♪

2004.05.27

チム、ジンジャーをたすける

3年前にチムシリーズが11冊刊行され、いつもはどどっと買いそろえるのだが、このシリーズだけはいまだ図書館から少しずつ何度も借りては読んでいた。昨日まとめて9冊借りることができ、どれから読もうかと思っていたら、上の子がさっさとみつけて4冊ほど自分ですぐ読んでしまった。4冊読んだなかではどれがおもしろかったと聞いてみたら、『チムのいぬタウザー』と即答。なるほど。夜眠る前にはどれを読むと聞いたら、これと持ってきたのが、『チム、ジンジャーをたすける』。
ジンジャーがいたずらから毛はえ薬をたっぷり頭にかけてしまい、どんどん髪の毛がのびて大変な目にあう、ちょうどその時、船も嵐にあい――とさまざまなできごとが航海の途中におきる。ジンジャーの髪の毛がのびる様はジンジャーには悪いのだけど、たいそうおもしろく子どもたちと大笑い。ページがめくるたびに皆でおなかをかかえて笑った。あんまりおもしろかったので、朝起きてからも、「あれ、おもしろかったからもう一回読もう」と、また読んで楽しんだ。ジンジャーのいたずらや、チムのしっかりぶり、マクフィー船長や、乗組員の性格など、どれもがくっきり描かれていてほんとうにおもしろい。「子どもと本」第87号でも引用されているが、『オンリー・コネクト III』に収録されているアーディゾーニが書いた記事でこう語っている。

……私は、人間を描くことと、視覚的に登場人物たちを創りだすことが好きなのです。ですからチムの絵本は基本的には人間についてなのです。……
子どもたちも、アーディゾーニに描く人物が好きでたまらないのだろう。さて、今晩もチムシリーズで楽しむぞ。

2004.05.26

沖釣り漁師のバート・ダウじいさん

ピンク色がとってもきれいな絵本。ひさしぶりに、「読んで」コールがかかり『沖釣り漁師のバート・ダウじいさん』を読んだ。マックロスキーの絵本は『かもさんおとおり』や『すばらしいとき』など楽しい絵本がある。でも、このピンク色がとってもきれいなので私にとっても愛すべき1冊。くじらの欲しがっているものは、我が家の子どもたちもとても好きなもの。いちばん下の娘も、すぐほしがるほど。ぺたんとする感覚がなんとなく気持ちよいのかな。前に読んだ時には、それほど気にとまらなかったのが、今回読んで、子どもも好きだよねととても納得してしまった。

2004.05.24

追憶の作家たち

著者、宮田毬栄氏は詩人大木惇夫の娘にあたる、その一点で興味を持ち読んだのが『追憶の作家たち』。先日「ドン・キホーテ」の書評を書く機会に恵まれ完訳や抄訳を数冊読んだ。いまは入手できないアルスの「西洋冒険小説集」もその内の1冊で翻訳したのが大木氏だ。あの大作を凝縮した「ドン・キホーテ」はたいそう愉快で美しい日本語で書かれていた。娘である宮田氏は、中央公論社で37年編集者として勤めた。現在はフリーで新聞や雑誌に寄稿しているという。7人の作家、松本清張、西条八十、埴谷雄高、島尾敏雄、石川淳、大岡昇平、日野啓三との交流を回想している。一番興味深く読んだのは、松本清張。宮本氏が最初に担当をもったのがこの作家だった。読んでいない松本清張作品を読みたくなる。また、大木氏を父としたことの心情、並列に書くものではないが、中央公論社での仕事など、自分をだしているところが絶妙で、結果、作家の人間性がよくみえてきた。

詩歌遍歴

哲学者、木田元が編んだ詩歌のアンソロジー『詩歌遍歴』。平凡社のPR誌「月刊百科」に連載したものに、加筆したもの。楽しみ♪

2004.05.20

金時豆のノンチリビーンズ

江島雅歌さんの料理本『みうたさんの野菜たっぷり料理』には、薄味、自然派料理レシピが65ほど掲載されている。7年前から愛読し、いろいろつくってきているのだが、今日つくったのは、初めての料理。「金時豆のノンチリビーンズ」がそれ。ノンチリとあるように、チリをいれていないレシピ。クローブやローリエ、ターメリックなどのスパイスをいれて、金時豆はドライパックを使用。コトコト煮て、いままで食べたことのないエスニックな味のできあがり。子どもたちも、大人っぽい味だねとぱくぱく。つけあわせは、同じ本から、キャベツとわかめのおひたし。春キャベツは美味でるるん♪

2004.05.19

読了本3冊

『ホエール・トーク』のあとがきに、

圧倒的な力を持つ作品というのがある。今まで訳したヤングアダルト向けの本でいえば、『豚の死なない日』がその最も良い例だろう。
とあり、未読本だったので、続編ともども読んだ。印象に残ったのは、13歳になった少年が、その年では重すぎるくらいの家族の責任を抱え、貧乏をののしるところだ。
天地有情』も読了。第百回芥川賞受賞作家のエッセイ。医師であり小説家である作者は、小説のモデルには医療現場がままあるようだ。90歳をすぎた女性患者さんの俳句を紹介している。少女っぽい新作にケチをつけると、「なに言ってんのよ。あんたなんかめめしいもんばっかり書いてるくせに」とやり返される。かっこいい。

2004.05.17

ハーメルンの笛吹きを追え!

ヒーラーズキープ』(上下)も、夢が重要なキーだったが、この物語もそうなので共時性を感じた。『ハーメルンの笛吹きを追え!』は、ディープ・ドリーミングの能力をもつ主人公、ペネロピーが笛吹きの行方を追う物語。ペネロピーは11歳になる誕生日に耳が聞こえなくなる。イレブニングという儀式を楽しみに待ったいた誕生日に。イレブニングでは、カスバートという賢者に、未来と才能を教えてもらえるのだ。それを待ち望んでいたペネロピーには、儀式どころではない予期せぬ事態が待っていたのだ。耳が聞こえなくなっただけではなく、ハーメルンの町から子どもが消えていた……。有名な伝説のその後を、101歳になったペネロピーが語る形式。現在と11歳の時の体験が織り交ぜられ、運命の答えがごく自然にみえてくる。なるほど、なるほど。ただひとつ残念に思ったのは、表紙の絵が物語のイメージと少し違っていた。この出版社の装幀はどれも好みのが多いのだが。原書はこんな感じ
絵本でもハーメルンものはそこそこあるが、おすすめは、文化出版局からでている矢川澄子さんが訳された『ハメルンの笛ふき』。

2004.05.16

ぴーんちゃんとふぃーんちゃん

子どもがごろごろと横になっていると、絵本を読む回数ががぜん増える。ブルーナの絵本は、小さい人には定番中の定番だが、子どもと読むことで、私も楽しめると思う絵本のひとつだ。子どもの目線にちょうどよい大きさ、わかりやすい絵、くっきりしたストーリー、そのどれもが、小さい人が安心と美しさによる楽しみを堪能しているのを共感する。『ぴーんちゃんとふぃーんちゃん』は、ふたごの女の子。どっちがぴーんちゃんか、ふぃーんちゃんか。何度読んでも大人の私は時に混乱するのだが、子どもたちは「わかる、わかる」と聞いている。もっかい、もっかいと、家にあるブルーナの絵本をつみあげて持ってくるのを順番に読む。ここ数日は、この絵本が上にあり、何度も何度も楽しんだ。

2004.05.15

モペットちゃんのおはなし

ピーター・ラビットの絵本の美しさとお話のおもしろさに気づかせてくれたのは、いまは8歳の息子。その彼も、妹たちに同じ絵本を読んであげている。風邪症状のでている弟と妹2人、私と役割分担して絵本を読み聞かせていた。『モペットちゃんのおはなし』は、まんなかの子どもとよく読んだ。いまは2歳をすぎた娘によく読んでいる。ピーター・ラビットの絵本は、キャラクターグッズも多くでているが、短編集あり、みじかめの童話あり、長編ありとバラエティに富み、絵の美しさは言うに及ばない。1冊、1冊がそれぞれに味わい深く、幅広い年齢のあいだ、楽しめる絵本だ。なかでも、『モペットちゃんのおはなし』はお話が短く、モペットちゃんの表情や行動が、小さい人たちと通じるところが多々あり、2歳くらいからとても楽しいメル絵本だ。最後のきょとんとしたモペットちゃんの表情はたまらない。何度読んでも、最後のオチはおかしみがあり、子どもたちとコロコロ笑って「おしまい」。さて、我が家の2人のちびちゃんたち、明日はよくなりますように。

2004.05.13

読玩

食玩もいろいろでていて、以前はよく買ったのだが、あまりにも子どもたちがこわしていくので、めげて今はこっそりひっそりしか買わなくなった。それでも、見つけられるとこわされる。くすん。昨日、届いた「出版ダイジェスト」(白水社のはおもしろい)を読んでいたら、斎藤美奈子さんのコラムがおもしろかった。夏目漱石の版権が切れ、地方新聞で連載するのがちょっと流行っているとか。へぇ、新聞を広げて夏目漱石の「坊っちゃん」を読むのも新鮮だろうな。いまは古典でも、その時はその時のものとして、新聞に実際連載されていた作品もあるのだから。夏目漱石の『坊っちゃん』は半年くらい前に再読したのだが、やはりめっぽうおもしろい。つれあいにもすすめたら、「さすが、夏目漱石だ」とさくさく読んで、楽しんでいた。この作品には、ちょっぴり、私のいま住んでいる土地もでてくる。

MTとオンライン・ショップ

連休前からMT(Movable Type)をさわりはじめた。新しいことを頭にいれても、すぐこぼれ落ちるのにはへこむが、それでも少しずつ形をつくるのは楽しい。ひとつ、つれあいの力を借りながら形をつけてきて、ようやく仕組みがみえてきたところ。いまhtml作成もスタイルシートが主流になってきているが、これはまさしくスタイルシートで形をつくっていく。それ以外にもテンプレートを5種類程度さわらないといけない。でも、みつめてみつめて、わからないものの形がみえてくるのが楽しい。リンクに追記した絵本とポストカードのオンラインショップ「パン・ポラリス活版所」さんもMTを取り入れたブログでリニューアルした。オーナーの方がセンスがあり、システムにも詳しいのでここのサイトはいつもすてきに作られていて参考になる。もちろん、絵本ショップの魅力も大。

2004.05.10

田んぼ

ぼちぼちと田んぼに水がはられてきた。カエルの鳴き声でわかる。空気が少しひんやりする。季節はさまざまなことでわかるが、この時が一年の中でもとても好きだ。つれあいも「カエルの声を聞くと一年たったな」という会話を交わす。まぁ、田んぼの近くなので、それはそれはカエルがでる。朝、起きて窓をあけるとはりついていたカエルがぴょこんと入ってくると、ぎゃっと思う。あちこちの壁にカエルの糞がついていると取るのが面倒だとわがままな事も思う。すみません。でも、水がはられたこの日は、毎年毎年なんだかうれしい。今年もお米がたくさんできますように。

ヒーラーズ・キープ

『ヒーラーズ・キープ』()読了。
ヴィクトリアン・ハンリーは読ませる。『水晶玉と伝説の剣』もすごくおもしろかったので、その続編と聞けば読みたい! ファンタジーは巷にあふれているけれど、でも、違う作品は違う。この違いをきちんと言葉にしてみたいのだが……。それはさておき、土台がしっかりしていて、ハラハラドキドキが児童文学王道の雰囲気をもっているのだ。単純にドキドキしてそしてジーンとくる。『ヒーラーズ・キープ』も、その王道を保っていておもしろかった。ファンタジーの世界がしっかりしていて、そこに交わる人に血が通っていると、物語はほんとうにいきいきする。この作家の作品はこれからも注目。

2004.05.07

水菜

いまの結婚をするまで、まっとうな料理をほとんどしたことがない。だから料理本は大好きだし、はじめてレシピどおりにつくったものが写真のとおりできた感動はいまも覚えている。料理はおもしろい。でも、味付けしたり、炒めたり、ゆでたりしなくてもおいしいのがサラダ。先日、豚の半身解体をみた折、試食でゆで豚とサラダがでた。水菜とかいわれサラダ。ドレッシングをさらっとかけて食べたのだが、メインの豚より水菜が美味だった。キャンプでさっそく、水菜を切り、サラダをつくった。いまは新玉ねぎのおいしい季節なので新玉ねぎのスライスとあわせ。イタリアンドレッシングで和えただけのサラダはしゃきしゃきした食感で大好評。ひとにつくるとなかなか自分の口には入らない。なので、明日またつくる。オリーブオイルをたらしてみよう。

2004.05.06

前兆

6年ほど前、同僚が癌で亡くなった。その半年くらいまえに、仕事でつきあいのある方が亡くなっていたのだが、前兆に気づいたのは、急逝の報が入った時だ。あぁ、だからなのか、だからいままで仕事上でそういう処理をしない人がそうしかできなくなっていたのだと。当時の仕事はひたすら交渉、交渉の毎日だった。心がすさんだくる人も多く、解決に向けて気持ちなど斟酌しなくなってくる。そんな中、常識的な話のできる人だったのが、壊れてきたような感を受けた。同僚と、何だか変だから交渉も気をつけないとと話をしていたら、亡くなった。体を動かす趣味も多々もっていて、家族サービスもし、激務の仕事もこなしていた。あぁ……と思っていたら数か月して、同僚も細かいことは違うとはいえ、壊れていくように荒くなってしまった。再入院した時、見舞いに行くと、「俺は癌だと思うか」と聞いてきた。「どうして?」と聞くと、新聞を読んだら自分と同じ症状の人が亡くなったと書いてあったからだという。「あなたは違うでしょう」と一笑した。仕事人間の彼は解決していない案件に話題をうつし、退院したらやるからなんとかふんばってくれと言っていた。ほぼ、毎日見舞っていたのだが、最後に部屋に行った時は個室で大きないびきのような音をたてて寝ていた。つれあいさんが隣で仮眠をとっていて、「ちくしょう」という寝言がもれた。誰も起こさないよう病室を出た。最後まで気にかけていた案件は、私がみた案件の中で一番こじれにこじれ解決に数年を要した。通夜もお葬式も手伝った。おつれあいさんは、湿っぽくしないで大いに飲んでおくりましょうと言った。おつれあいさんは、ちょうどその亡くなった病院を定年退職したばかりの元看護婦長だった。同僚もあと数年で定年だったのに。それからほどなく、私はまんなかの子どもを身ごもった。死は生の交換のようなものだ。同僚がきっと見守るだろうと私は心おだやかに出産をむかえた。そんなこんなを思い出した。『朝霧』におさめられた「山眠る」にこんなエピソードが書かれている。「私」の母上がご先祖さまの話しをしだした。「私」からみると祖父。障子をはるのは自分の仕事と他の人にはさせなかった。それが亡くなる何年か前から張り方が乱れてきた。少しずつ違っていくのを見せつけられるようで哀しかったと、母上は語るのだ。そうか、私もその違いを見るのがせつなかったのだなと、それで同僚を思い出したのだろう。
走れ、走って逃げろ』の装画を描かれた中釜浩一郎さんが急逝した。1965年生まれの方だ。この本の表紙はすごくいい。タイトルにあるように逃げる少年が描かれている。背中を向けて。人の背中を描いた絵は、それだけで惹かれてしまうところが私にはあるのだが、この絵も一度見てから、目をつむっていてもすぐ思い出せる。合掌。

2004.05.04

ホエール・トーク

ホエール・トーク』はいい本だ。いい本を紹介するのはむずかしい。毛色はまったくちがうが、『ママは行ってしまった』もそう。私の好きなところは、どちらも登場人物たちの未来が生きがたい時があったとしても、それから着地できる力がきっとあるだろうと思えること。時折、1冊の本の中、つまり読むことのできる物語の中では、ひどい大人に囲まれて生活してもけなげにそれをやり過ごしている子どもたちがでてくる。しかし、物語を閉じたあと、彼らの生きがたさをどこで背負って前にすすんでいくのだろうと、やるせなさが残る時がある。あと、物語のために登場人物たちが犠牲になってりうような物語。たくさんの本があり、たくさんの物語がある。その中で、『ホエール・トーク』のように、最初から最後までゆるむことなく、くっきりしている本と出会えるのは至福。タイトルもすごくいい。私もクジラになりたくなる。
ふりはらっても、そうできないものがある。主人公、ザ・ダウ、通称T・Jは生後2年で、白人夫妻の養子になった。新しい母さんは弁護士で児童虐待を主に扱っている。父さんは収入ゼロだが、子ども相手のボランティアや時折バイクの修理をして生活している。T・Jは有色人種だからと、あからさまな差別を特定の人物から受け続け、タフな彼は親の力も借りながら学校生活をこなしている。頭もよく、スポーツもよくできるのだが、スポーツに関してはどこのクラブにも所属していない、いや所属しようとしていなかった。そうなのだが、「すべてはつながっている」。水泳チームに所属し、とある目的に向かう。つながっていることがらは、ラストにラストらしいオチをつけた。センチメンタルにならずに、物語の中の大人も子どもも、それぞれ少なくない重荷をもち、生活していく折り合いの術を身につけている。大人は大人らしく、そして格好良く。作者がここまで書けるのは、本人が作家という顔のほかに、ファミリー・セラピスト、児童保護活動の専門家としての活動があるからなのだろう。とにかく人間が描けている。そして、彼らは物語の中でうるさくなく饒舌に語っている。
いい本だ、ほんとに。

たこ焼き

数年前に、友人家族宅に行ったとき、おいしいたこ焼きをつくっていただいた。ポイントは出汁。それ以来、我が家でもたこ焼きをつくる時は必ず出汁を濃いめいとってつくっている。キャンプに行くとたこ焼き用フライパン(?)を持っていってはつくっていたこともあり、今回は久々。なので、出汁の中に最初からたこを入れてしまい、つれあいに厳しく注意される。ごめん。でも、美味しくできて満足、満足。やわらかめのたねでつくるので、口の中でとろっとできる。今日もつくろうかな。石窯パーティ日なので。

2004.05.01

連休

義妹家族が一泊で遊びに来てくれた。子どもが生まれると、一泊の家族旅行も子どもの体調次第になる。もう4年ぶりくらいになるだろうか。お城をみにいったり、庭の石窯でピザを焼いたり、楽しい連休のスタート。義弟は、いま仕事がらみもあり、模型飛行機に夢中になってるという。無線で動かす、空を跳飛ぶ機体……、うーん、おもしろう。私も話しを聞いているとがぜん欲しくなってしまった。
そして今日は運動会。お弁当づくりで早起き。おにぎり、新たまねぎのおかかサラダ。人参の甘酢づけ、ポークウィンナー、一口トンカツ、豆腐だんご、しゅうまい、五目煮にデザートはキーウィ。来年は子どもたちも成長するので、もっとつくらなくちゃ。ナポリタンとかもいいんじゃないとつれあいからのアドバイス。野外料理はつれあい担当なのだが、お弁当だけは私。来年までナポリタンのこと覚えていなくちゃ。
明日はキャンプ。たこ焼きをつくる予定。

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