物語を
「考える人」を求めたのは、Blue Boxさんに石井桃子さんの記事が載っていることを教えていただいて。この雑誌は、創刊号の時に求めたきりで、買う機会がなかった。特集が「子どもをめぐる耳よりな話」というのにも惹かれた。まだすみずみまで全部読んだわけではないが、どの記事も読んでよかったと思われるものばかり。おいしいごはん日記を書かれているいしいしんじさんも登場して、めんこい子どもたちがわさわさと写っていた。バイオリン製作者のインタビュー、子どもの読書を応援する書店メリーゴーランドの増田さんのインタビュー(「本屋に泊まる」イベントの写真がいい。うらやましい!)、子どもの靴専門店オーナーのインタビューもおもしろかった。子どものためにと、体操教室はここ、塾はこことカタログでよいものを取り寄せるように専門家にまかせたがる(まかせて安心したがる)が、親が子ども全体を見てやらなきゃと言われていた。体だって、足だっていろいろなサインを出しているから、と。そして何よりよかったのが、梨木香歩さんの「ぐるりのこと」。そういえば、『村田エフェンディ滞土録』(角川書店)はこの雑誌で連載されていた。「ぐるりのこと」は今回が最終回で私ははじめて読んだ。エッセイのようで、日光の植物園に行った折、秋に少し早い時期の雨にあたり、百人一首で有名な寂蓮法師の歌と宮沢賢治の詩句を引いて、こう書いている。
時代を超えて、皮膚は同じ感慨を訴えている。皮膚一枚通して内側と外側が少しずつ交流を始めるような、そういう気配。ほかには、平松洋子さんによる韓国港町デジカメ日記もすっごくおいしそうだった。雲丹とわかめのスープ、キジのレバー、スープ、お焦げ湯スンニュン、ピビム冷麺などなど。あぁ、いつか韓国に行って食べたい。参考になったのは、山川みどりさんの「六十歳になったから」に書かれている日々つれづれエッセイに、人は一日に最低17分は対話するほうがいいそうという言葉。なるほど。まだ60歳までには間があるけれど、参考にしようと思った。
肌身が経験する、圧倒的なリアリティの中へ参加している、という感覚は、私にいつでも、未だかつて語られたことのない言葉を使いたい、と強く欲求させる。そうでなくてどうしてこの、常に新しくあり続ける「今、この瞬間、この場所で」というリアリティが表現できるだろう、と。
地震、台風被害、胸が苦しくなるようなニュースが続く。中村びわさんのブログで、整理された情報を読み、わずかながら義援金を郵便局から送金。
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