昨晩子どもたちと読んだ絵本、数冊について。
『ミミズのふしぎ』(皆越ようせい 写真・文/ポプラ社)
表紙のミミズの顔がすごいです。子どもたちと、わぁー、すごいー、などなどにぎやかに読みました。写真ってほんとすごい。ミミズの顔をまじまじこんなアップで見ることなんてないですもの。こんな顔してるんですね。あっちこっちにいるけれど、あっというまにするっとどこかにいっちゃうか、もうひからびてしまったのを見るくらい。うんちまみれのミミズがどっさり登場。卵を産むところはとっても美しくて、感動。ミミズの赤ちゃんもかわいいです。以前、複数の出版社がダンゴムシを題材におもしろい写真絵本をつくっていたけれど、この写真家もダンゴムシを撮っていたことを思い出しました。こういう写真絵本は何度読んでもあきません。
『いいおかお』(文・さえぐさ ひろこ/アリス館)
アリス館の編集部では、本ができたら必ず作者に読みきかせをするんだそうですが、これもその1冊なのでしょうか。こちらはいろんな写真家が撮った写真を編集して、さえぐささんが言葉をつけている写真絵本。どの動物もタイトル通り、「いい顔」してます。子どもたちはみながら、おんなじ顔をまねしてました。
『ベルベットうさぎのなみだ』(原作:マージェリィ・ウィリアムズ/文:ルー・ファンチャー/絵:スティーブ・ジョンソン&ルー・ファンチャー/訳:成沢栄里子/BL出版)
石井桃子さんが訳された『ビロードうさぎ』(岩波書店/童話館)を短くまとめなおしたもの。はじめ、なぜ、すでに2冊もでているこの絵本を出すのだろうと思ったのですが、小さい子どもにもこの名作を読んでもらいたいという思いからきたものだということを、あとがきで知りました。元の言葉を残すようにもしたが小さな変更もしてあるとのこと。この絵本を好きになった子どもたちが大きくなったときに原作を手にとってくれると嬉しいと結んでありました。上の子どもは、もとの話は童話館版で読んでいるのですが、絵も物語も違うので、また別の話と思って聞いていたようでした。
最後に絵本ではなくノンフィクション
『100の美しい脳 アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち』 (デヴィッド・スノウドン 藤井留美訳/DHC出版)
届くのを楽しみにしていた1冊。すえもりブックスのサイトで知りました。今年南アフリカで行われたIBBY(国際児童図書評議会)世界大会の総会で、末盛さんがお話された時に引用された本だという。
678人の修道女の人生と脳を対象に、老化を多角的に研究する――。1986年にはじまり現在も進行中の「ナン・スタディ」はアルツハイマー病研究に多くの成果をもたらした。若年期のすごし方が老年期にどう影響するのか、アルツハイマー病の発病と発症の不意一致の原因、さまざな老化を防止する要素。(見返し紹介より)
シスターたちは、そのほとんどが高学歴であり、生活形態もシスターゆえに皆、共通要素を多く含んでいる。過去の記録も整備されていることが多い、そういうことが、疫学的研究にはとても大事らしい。すべて結論がでていることが書かれているのではなく、研究途上ではあるのだが、少しずつわかってきたことが、丁寧に書かれ、加齢に対する示唆がいろいろあった。末盛さんがお話されたのは、子ども時代の読み聞かせは、後天的に学習する能力の中の2種類、語彙力と読解力を高めることに効果があるとというくだりのよう。実は、これを読んでからこの本の書評をいろいろネットで読んだのだが、そこにふれているものは見あたらなかった。どういう風に読みきかせについて書かれているのだろうかという興味が、この本を求めた一つなのだが、やはり子どもの本に関わる人が読んだからこそ、目に留まったところなのだろう。本全体では、疫学的研究方法、明らかになっていくわずかな事柄、シスターたちのかいまみれる人生が柱になっており、その部分はごくわずかなのだ。シスターたちは平均22歳で自伝を書いているのだが、その内容が前向きで、その意味する密度が高ければ高いほど、長寿を予見しているというのだ。「成人してまもないころの文章が、60年以上もたったあと健在かどうかを知る協力な手がかりとなっているのである。」
読後、つれあいに、語彙力と読解力と前向きが大事らしいというと、ずいぶん簡単にいうねぇと言っていた。前向きというのもなかなか大変な時もあり、ですが。
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