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2004.11.29

なにもかも話してあげる

なにもかも話してあげる』(ドロシー・アリスン 小竹由美子訳/晶文社) 『ろくでなしボーン』で自伝的長編を書いた著者が、「現実の体験とを明確に区別しておきたいというアリスンの思いが契機となって書かれた。」(訳者あとがきより) 苦しくすさまじい体験を、朗読パフォーマンス用に書いたものを下敷きした言葉で、アリスンの声がよりまっすぐ読者の心に入ってくる。家という閉鎖された中で繰り返される暴力の中で、アリスンが成長し物語を語らねばならなくなる姿に、ベタな言い方だが励まされる。

二つか三つ、知ってることがある。二つか三つ、たしかに知ってることがある。そのうちの一つはこういうこと。生きていくために、わたしは物語を語らねばならない。物語は私が知るたった一つたしかな、心にうったえて世の中を変える方法なのだ。

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コメント

コメントありがとうございます! この本のあとがきを読んで、ドロシー・アリスンの書く、ジャニス・ジョップリンをモデルにした小説というのも読みたくなりました。「物語」というものを語る、そしてそれらを読むということも、また生きる力になりますよね。書くこともそうですし、読むことも、とても能動的だと思えます。ドロシー・アリスンが、自分の世界を語る言葉をもっていて、その言葉に力があるというのは、ほんとにすごいことで、それをこうして読めることも幸福です。

みなみストアーもみてくださってありがとうございます。ふつうの外観なのですが、熱い思いのあるスーパーなんですよん。

わおぅ、読んで下さったんですね!いつもいい感想を書いてくださって、ありがとうございます。ドロシー・アリスンは大好きな作家です。「物語」の力によって自分を支える。本の世界や空想の世界、自分だけのそうした世界を持っていると、苦しいときには大きな力になりますよね。ジャクリーン・ウィルソン作品の語り手たちも、みんな何らかの形でそんな世界を持っているなあと、改めて思いました。

みなみストアにはまってます。私、売り出しのチラシを見るのが大好きなんです(倹約な主婦なので)。新鮮ないい物を安く売る、なんてステキなお店!リュック背負って買出しに行きたいです。

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