読了本
『女船長、ロブスターの島に帰る』
故郷の小さな島にもどってきたリンダ。マグロ漁の次はロブスター漁だ。父親と共に日々トラップを仕掛けてロブスターの漁に一喜一憂する。小さな共同体で生活することの、小さな生きにくさと、大好きな故郷で暮らす幸せをいったりきたりしながらの日々に共感した。
『猫に名前はいらない』
絵本といっても物語がかなり占めている『ねこのタビサ』を読まれたことがあるだろうか? そのタビサのとうさん猫の物語がこれ。伝記作家としての力量たっぷりのA.N.ウィルソンが猫から聞き書きしたかのような、さすらい猫の自叙伝(?)。『ねこのタビサ』もこちらも、読後に残る幸福感がなんともいい。
『ノリーのおわらない物語』
あのニコルソン・ベイカーが自分の子どもが9歳の時の姿を観察、そしてたくさん会話を交わしてできたといわれる物語。岸本さんの訳文がすごい。「ひかひかするミイラ」なんて、ほんとミイラってひかひかしているよなぁと。子どもの言い間違いもなるほどの日本語になっていて、ベイカーと岸本さんの見事なコラボレーション!
『魚だって恋をする』
今江さんは食べ物の描写がすごくうまい。自身も食いしん坊だから、おいしいものをおいしく描いてくれるのでうれしくなる。長さんによる装画もきれい。魚がゆらりゆらり泳いでいる質感がよくでていた。
『祈祷師の娘』
よかった。時代設定は少し前?と思ってしまう冒頭から、いえいえしっかり現代の話。表面はいたってきれいに、でも、そのきれいな下にはどろりとした澱もあり。春永ちゃん、和歌ちゃんもおかあさんもおとうさんも、出てくる人たちみんな丁寧に描かれていて、ハルちゃんのあのせりふは泣けました。
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