赤い目のドラゴン
『赤い目のドラゴン』(アストリッド・リンドグレーン 文/ヤンソン 由実子 訳/イロン・ヴィークランド 絵/岩波書店)は、出会いと別れが、子どもの目線で静かに、そしてセンチメンタルではなく描かれている絵本。
「わたし」が小さかった時、ぶたごやでドラゴンと出会う。ぶたが赤ちゃんを10ぴき生んで満足そうに横たわっている横で、目をくりくりさせた赤い目のドラゴンがそこにいた。なぜそこにいたかはわからない。それからは、「わたし」と弟とドラゴンは遊んだり、いたずらしたり、好物のろうそくを食べたりしながら、親密な時を過ごすが、ドラゴンはずっとぶたごやに住むわけではない。最後のページは何度読み返したことだろう。「わたし」がどれだけドラゴンが好きなのか、しかし受け入れなくてはいけない悲しさ、切なさを、「わたし」がどんな風に受け止めたのか。それがとても伝わってくる終わり方なのだ。
わたしは そのばん、本をよみませんでした。おふとんを我が家の子どもが、誰かと別れることで泣くようになったのはいつからだったろう。小学校にあがり、8歳をすぎた頃だったろうか。お隣の仲良くしていた家族が引っ越した日は、ぼろぼろ泣いていた。さみしくてさみしくてたまらなかったようだ。「忘れないよう手紙をかこう」、泣きやむ直前にそう言っていた。
すっぽりかぶって、赤い目をしたみどりいろの わたしたちの
ドラゴンのことをかんがえて、なきました。
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