ピーターおじいさん
『ピーターおじいさんの昔話』(アーサー・ランサム著・神宮輝夫訳・ドミトリ・ミトローヒン挿絵/パピルス/本体3500円)をひとりで読んだり、声に出して家族に読んだり、子どもだけに読んでみたりと楽しんでいる。今日は、「塩」を車に乗っている間、声に出して読んだ。すえっこの無邪気でばかなイワンの冒険話。『空飛ぶ船と世界一のばか』(アーサー・ランサム 文・神宮 輝夫 訳・ユリー・シュルヴィッツ 絵/岩波書店/版元品切れ)もすえっこのばか息子が幸せになるロシアの昔話で、こちらもめっぽうおもしろい。「塩」も、車の中で大笑いしながら子どもたちは聞いていた、読んでいる私自身も時々ふきだしたほどだ。語りが豊かでとてもひきつける。寒い冬の日、ピーターおじいさんが、孫2人に語って聞かせる昔話なので、話の途中で孫2人の合いの手が入ったり、終わったところで感想をもらしたりするのだが、その感想がそうだよねぇ、私もそう思うととうなずいてしまう一言ばかり。パピルスのこの本はいま入手は可能なのだろうか?
家をかこむ森は、深い雪に埋まっていた。ふりつもる雪の重みで、松の枝はたわむ。ときおり、重みにたえきれなくなった枝は、どどーっと音をたてて雪を地面におとし、枝はいきおいよくはねあがる。すると雪は、また、その枝に重荷をのせはじめる。家の中でしずかに耳をすましていると、くたびれた枝が、どどーっと雪の重荷をふりおとす音が、ときどききこえてくる。この出だしではじまるのだが、いかにもいまの我が家と似ている。違うのは、木から落ちる雪の音ではなく、屋根から落ちるというくらい。風が吹くとすぐに吹雪のように、ひゅーん、ひゅーんと音がする。そんな日にこの昔話はぴったりだ。
ところで、パピルスの社主、小田光雄氏はFAX以後のITを一切使っていないそうだ。自家製野菜のみを常用するベジタリアンで、風呂も薪で沸かす生活だという記述を、ぐぐった記事で読んだ。図書館や本をめぐる本の著書もあり、読んでみたいと思う。もう1人のパピルス創立者、鶴ケ谷真一氏の著書も興味をひくタイトルのものがあるのを知った。また読みたい本が増えていく。
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コメント
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hiroeさん、こんばんは。そうです、『書を読んで羊を失う』です。hiroeさんも読まれておすすめなのですね。それは手にするのが楽しみです。他にも数冊あるようですよね。今日借りてこようと思ったのに、取り寄せた本をもらっただけで、すっかり忘れてしまいました。また次に。小田光雄さんの本もおもしろそうです。読みたい本が増えるのは、いつ読めるかというのはとりあえず置いておいて、わくわくします。
投稿: さかな | 2005.02.06 18:43
さかなさん、こんにちは。鶴ヶ谷さんの興味深い本って、『書を読んで羊を失う』ではないですか?すごくおもしろいエッセイですよ。賞もとったはず。おすすめです。
投稿: hiroe | 2005.02.06 16:59