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2005.03.06

ウェストール

今日読了した本はウェストールの『禁じられた約束』(野沢香織訳/徳間書店)。第二次世界大戦が始まる少し前、14歳になる少年は少女ヴァレリーと出会った。彼らとっては、戦争がこれから始まるという背景よりも、虚弱体質なため外出もままならない少女との初恋がみずみずしく、そして後半はぞくりとさせられる。
10代の初恋なんて遠い昔のことよ、などという思いになぞさせません、そこはウェストールです。この時にしか味わえなかった思いを、脳みそがひっぱりだしてくれます。ウェストールはひとり子である息子を、彼が18歳の時に事故で亡くしています。デビュー作当時12歳の息子に、自分の十代がどんなだったかを知らせたくて『機関銃要塞の少年たち』を書いたと、「子どもの本だより」1号で上村令さんが書かれています。そして『海辺の王国』では自分の子ども時代を今度は自分のために書いたと。
少年ボブのおばあちゃんが素敵です。長く生きている先輩として、孫の少年ボブに的確な言葉をかけています。もちろん恋のアドバイスではありません。この本の主題は初恋なので、そこにおばあちゃんは出てきません。初恋の主人公は若いカップルなのですから。
今年はあと2冊ウェストールの新刊が出るようなので、刊行が待たれます。

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コメント

ウェストールは福武から出ていた時から読んでいるのですが、この本はその中でも心に響きました。こういうおばあちゃん、一家に一人ほしいですよね。生きていく時の支えになります。こういう支えは親以外の方がいい時もありますしね。

わたしもあのおばあちゃんが好きです。さりげないおばあちゃんとの思い出が後で利いてくるのがうまいですよね。これはやまねこ賞候補です。

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