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2005.03.10

枯葉の中の青い炎

短編の妙を存分に堪能できるオススメ本、『枯葉の中の青い炎』(辻原登 新潮社)。6編収録され、どの物語もひとつの筋立てだけでなく、フィクションやノンフィクションが絡み合い、読者は自分の立ち位置がゆらゆらさせられる不思議な感覚をもつ。その中の1編「ザーサイの甕」は非常に好み。めくるめくるような蘊蓄のはての結末はすごすぎる着地に、物語を読むしあわせをしみじみ味わう。長い長い野生期間を経て生まれた突然変異でできた搾菜(ザーサイ)の物語のような歴史のような1編を読んだあとにはザーサイを見る目が変わりそうだ。表題の「枯葉の中の青い炎」は亡命ロシア人で日本プロ野球史上初の300勝を達成したスタルヒンが描かれる。この達成にはチームメイトによる不思議な行為があるのだが、それが幻想的というか奇跡というか。スタルヒンという実在の人物にフィクションがたくみに物語に仕立て上げている。あぁ、でもラストの理不尽さには呻ってしまう。物語作者の技をお楽しみあれ。

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コメント

はい、さっき届きました~。その節はありがとうございました。私もサカモトさんだぁと思いながら読んだところです。日本の絵本では、ひこさんと同じ絵本を1番にあげていて、なんだかうれしかった。誰かに贈りたい本は、メッセージをいれてもよかったのですね~。いれるスペースはないのかと思って書かなかったので、次の機会があれば必ず書こうと思いました、忘れてなければですが。。

本題とは関係ないのですが、「この絵本〜」がとどきました。
そちらは今日かな?

読みながら「ああ、さかなさんだな〜」と思いました。選ぶ本と文章に人柄が出るので、知り合いの文章を読むのは楽しいですね。
(だからといって、私のは、まあ・・・)

bk1早く軽くなるといいですよね。リニューアルはいつなのだろう。。
うん、この短編集すっごくオススメ。BUNさんのスタルヒンのですよね、の一言で読む順位がトップになりました(^^)。
『父の文章教室』も丁寧にすくって書かれてますよね。冷静に理性的に書こうとしている姿勢が直球で伝わってきて、うん、読めてよかった本でした。

きゃ~。
奇譚ものは好きなので、さっそくbk1(相変わらず重い!)で注文しちゃいました。わくわく。(その前にリーディングをなんとかせねば。。。)
『父の文章教室』も読みました。おもしろかった。そしてすさまじかった。いやはや。

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» V.スタルヒン 【投手】 [プロ野球 ベストメンバー奮闘記]
【史上初の300勝投手】 革命が起きたロシアを逃げ出し、旭川に 落ち着いた白系ロシア人。大日本東京 野球クラブに入って、第1回アメリカ 遠征に最年少で参... [続きを読む]

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