ひこさんの新刊
ひこ・田中さんの待望の新刊がでた。『大人のための児童文学講座』(徳間書店)。タイトルに「大人のための」という理があるのがいいです。子どもが読む児童書ですが、この本は子どもに向けたものではなく、大人に向けられている。徳間書店児童書編集部が発行している「子どもの本だより」に連載されている「ひこ・田中の児童文学講座」に加筆修正したもの+書き下ろし原稿が加えられた本書。「子どもの本だより」を読まれている方には、あの小さいたよりにコンパクトにまとめられている文章を読んだことがあるでしょう。きびきびした文体で、古典を現在の空気にあう言葉で、大人にわかりやすい語彙で書かれています。『若草物語』がなぜいまも読み継がれているか、それは読み手の女の子たちが自分自身の望みを託しながら読み替えることが可能な物語だと。それが可能なのは、物語自身が読み替えを望んでいる節があるとひこさんは書かれ、謎解きのように示される問いに対する答えが、実に気持ちよいのです。ここに出てくるタイトルでまったく知らなかったのは2タイトル。読まねば。
ひこ・田中
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