シークレッツ
昨晩はさすがの会津も気温がさがらず、子どもたちはあつい、あつい!と連呼していた。扇風機をゆるくまわして、いつもより早くみなで布団に横になる。『ユダヤのむかし話』の中の「ソロモンのちえ」を読み、ちびちゃんように、先日配信した子どもの本だよりで紹介した『ひよことあひるのこ』を読んだ。
子どもたちが寝静まったあと、ひとり起きて私の読書タイム。ジャクリーン・ウィルソン新作『シークレッツ』(小竹由美子訳 偕成社)を読んだ。この作家の出だしはいつもぐぐっとひきこまれる。冒頭は義父にベルトでたたかれ、額から血を流すトレジャーという名前の少女がでてくる。ベルト! 血! ニック・シャラットがいつもどおりの安心できるタッチでさらりとそれを描き、さていったいどうなるのと、ぐんぐんページを繰っていった。正反対の生活環境に育つインディアとの出会い、インディアが傾倒している「アンネ・フランク」。そのアンネが物語にひねりをもたらせラストへと一気にすすむ。ウィルソン作品には、子どもを守る守護天使のような大人がよくでてくるが、今回はトレジャーのおばあちゃんがそう。冷静にだれを守らなくてはいけないかを見極め、トレジャーに愛情をたっぷりそそぐ。おばあちゃんは信頼できるという言葉は、何よりその深い愛があるからだ。おばあちゃんがトレジャーを守るために決断するものもなかなか重く、しかしこの決断がなければ次のステップはないんだなと納得させられる。簡単ではないのだけどね。
同じく英国作家のエイダン・チェインバーズの作品『二つの旅の終わりに』でも、アンネ・フランクは重要なキーワードになっていますが、たくさんでている「アンネの日記」を今度こそ再読せねば。
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コメント
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『シークレッツ』を読んで、あらためて『ナターシャ』の文章も子どもの本の文章も本当にすいつくように読める日本語に読み手として至福を感じます(^^) ウィルソンさんの作品はどれも愛情こもったまなざしがありますね。
ドリトル先生、この休み中にどんどん読めそうな息子です。私も『あらしのまえ、あらしのあと』好きでした。でも、好きっていう記憶だけで内容がおぼろげ。いつかこちらも再読してみます。
投稿: さかな | 2005.08.02 15:28
さっそくのブログでのご紹介、ありがとうございます!さかなさんの「読み」はいつもしっかりと鋭くて、嬉しいです。
うえの息子さん、ドリトル先生読んでいらっしゃるんですね。わたしも大好きでした、あのシリーズ。
『二つの旅の終わりに』、読まねば。戦中のオランダといえば、ドラド・ヨングの『あらしのまえ、あらしのあと』も子供の頃、好きな本でした。
投稿: ほんやくや | 2005.08.02 14:51