« ゆくとし くるとし | トップページ | 新春2日め »

2006.01.01

われわれの時間

一日で、いちばんいいのは
宵の時間じゃないか? いいのに、
それほどは愛されていない時間。聖なる
休息の、ほんの少しまえに来る時間だ。
仕事はまだ熱気にあふれ、
通りには人の波がうねっている。
四角い家並のうえには、
うっすらと月が、穏やかな
空に、やっと見えるか、見えないか。
その時間には、田園をあとにして、
おまえにいとしい街を愉しもうではないか。
光に映える入り梅と、端正に
まとまった容姿の山々の街を。
満ちたりたぼくの人生が、
川が究極の海にそそぐように、流れる時間。
そして、ぼくの想い、足早に歩く
群衆、高い階段のてっぺんにいる兵士、
がらがらと行く荷車に、駆けだして
跳び乗る少年。そのすべてが、ふと
静止するかに見えて。これら生の営みが、みな
不動のなかにたゆたうかに見えて。

偉大な時間、収穫をはじめたわれわれの
年齢に、よりそっている時間。

オンライン書店ビーケーワン:ウンベルト・サバ詩集

« ゆくとし くるとし | トップページ | 新春2日め »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: われわれの時間:

« ゆくとし くるとし | トップページ | 新春2日め »

2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ