木星の月
アリス・マンロー著 / 横山 和子訳
幸せな読書だった。至福の読書だった。
アリス・マンロー、1931年生まれのカナダ人。邦訳単行本として作品が発表された初めての本が『木星の月』だ。中短編が9編収録されている。
どの作品も、現在(いま)立っているところからふわっと浮かび上がらせ、不思議な着地感をもつ。その一瞬、いま何を読んでいたのだろうと宙を仰いでしまう。それがなんとも快感なのだ。とくに「レイバー・デイ・ディナー」の最後の展開はすばらしかった。言葉はいろんなことができるのだとあらためて思う。思えることが至福。
さて、このアリス・マンローの短篇集『イラクサ』(小竹由美子訳)が今月の30日に新潮社クレストから刊行される。あぁ、早く読みたい。
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