キンバリー・ウィルス・ホルト
『ザッカリー・ビーヴァーが町に来た日』という少々長めのタイトルの本を再読。このすばらしい小説を書いた作家の絵本がとてもよかったので、ついついこちらもまた読み直したくなったのだ。
小さな町に仕事でやってきた2人がいた。ひとりは少年で、町の子どもたちは彼に近づきたくて、トレーラーハウスにドカドカ押しかける。それから紆余曲折しながら出会う少年たちの友情がベタでベタゆえによい。時代はベトナム戦争の空気も伝え、少年の兄は兵士として赴いていた。弟にあてる手紙から見える戦争、それにさほど気にかけることなく、目の前の出来事を楽しむ少年たち。だが、彼らの家族もそれぞれ軽くない荷物を負っていた。
再読なのでもう筋もわかっているのだけれど、少年の兄が送る手紙の前後あたりから、布団の中でぐすぐすと泣いてしまう。はぁ、よかった。
いい小説は何回読んでもいい。
絵本 "Waiting for Gregory"はぺったりとした油絵っぽい画材にもかかわらず、ふわふわとした軽やかさのある絵がすばらしく、少女がいとこグレゴリーの誕生を心待ちにしている気持ちを美しく描いている。
生まれる前から男の子だとわかっていて名前まで決めている。グレゴリーとはいつ会えるの?という質問に大人たちや自分の友だちはさまざまに答えているのだが、その答えをイメージした絵が空想的で浮游感ありおもしろい感じなのだ。画家のGabi Swiatkowska さん、Ezra Jack Keats New Illustrator Award を"My Name is Yoon"で受賞しているのですが、こちらの絵はさほど響かなかったし、"Arrowhawk"も美しいけれど、すごく好きとまでいかなかった。でもこの絵本の絵は好み。
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