人生を歩け!
3日間に渡って歩きながら語られたものの、歩き下ろし記。最初は東京にゆかいがない人間にとっては、ちんぷんかんぷんな地名の羅列で、いまひとつ距離感もって読んでいたが、だんだん、いしいさんと町田さんのゆるいリズムに慣れてくると、それが味わいになりさくさく読んだ。
とりとめない会話からも、やはり人生を意識した名言(?)がぽろりと落ちる。
いしい 一種のおまじないなんでしょうけど。人間がそれぞれちゃんと生きていっくためには、そういう儀式って(死んだスズメを埋めて墓を作ることがここで話題にのぼっていた)必要なんだと思うんですよ。それをほったらかしにしておくと、知らず知らずに自分のなかで乱雑さが増していく。
町田 でも、人間って、建前のところを堅固に作りすぎると、かえって本音の部分がスカスカになってしまうところがあると思うんです。ほんとうのナマの切ない感情が麻痺しちゃう、というのかな。
そうだよなぁと、しみじみと聞いて(読んで)しまう。
あと、まるいちでおいしい魚を買って食べながら話をするところもある。いいな。
こんなふうに、たらたらと進んでいる会話のどこで終わるのだろうと、いらない心配をしながら最後のオチにたどりつき、うまい!と思った。
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