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シリーズ4部作の1作目。2002年ウィットブレッド賞候補作、ネスレ子どもの本賞9~11歳部門金賞、ブランフォード・ボウズ賞候補作。4部作目は今年のガーディアン賞を受賞しています。
各々の都市が移動しながら機能をはたし、ヒエラルキー厳しい世界において、身分の違うふたりが出会い、あることを成し遂げようとする。人物がきちんと描き分けられ、未来都市の複雑さと単純さがよくでている。後半の荒っぽい展開は少し唖然としつつも、次作も楽しみ。 |
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「子どもというものはなんの役にたつか、おまえは知っているか?」
「なにもかもひっかきまわして、大人をこまらせることだけしかできませんよ。」
「まだほかにも役にたつぞ。大人が路をふみはずしたとき、やりなおすたすけになる。われわれ大人が失敗したことを、子どもが成功させてくれる。」
『家なき子』『家なき娘』の作者、エクトール・マロ作。日本初の完訳版。二宮フサ訳 |
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ハンナはこのごろ記憶が時系列にでてこない。戦争の時代にもどったり、孫が娘に思えたり。いったいいま私はどこにいるのと問いかける。娘は母ハンナに話しかける。つらいことは思い出さなくてもいいと。孫のひとりは、祖母ハンナにあったことを知りたがる。祖父はどんな人だったの? 戦争でいったいなにがあったのと。3世代の女性たちが、ハンナの記憶のあいまあいまに自分を重ねる。ゆったりとやさしく、時に冷たく残酷。満ちたり引いたり波のような物語。 |
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