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2006.12.28

フィリッパ・ピアスさんの訃報

 やまねこ翻訳クラブの喫茶室掲示板でフィリッパ・ピアスさんの訃報を知りました。今月の21日に亡くなられたそうです。86歳。

オンライン書店ビーケーワン:サティン入江のなぞ

 『トムは真夜中の庭で』が有名ですが、私は『サティン入江のなぞ』が好きでした。『トム~』を子どものリアルタイムで読めずに大人になってから出会ったからかもしれません。『サティン入江~』は、容赦なく、大人のそれも女性の心理を深く鋭く、そしてあたたかく描いていて、初読以来、大事な本になりました。手元に置きたいと願った時は品切れが長く続いていて、当時、よく本を注文していた、児童書の専門店の方が一冊だけ入った時に連絡をもらい家の棚に入りました。いまは入手できるようですね。

 本は残るけれど、物語を紡ぐ人が逝かれるのはとても寂しい。ご冥福を心から祈ります。

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コメント

BUNさん

そう、BUNさんもお好きだと仰ってましたよね。なんでしょう。あの最後にいたる人間の懐を読んだ時は私も泣いてしまいました。いや、泣くという行為が本の感想になるという同義ではないのですけれど。がつんときましたね。
ちょっと、さみしすぎて、読み返せないでいます。私も初読は10年以上前です。すごい作品でした。

う、なぜかこの記事を読み逃していました。
ピアスさん、亡くなられたのですね。知らなかった。寂しいです。
実はわたしも「サティン入り江」が一番好き。アメリカにいるとき、図書館で原書を借りて読みました。(その図書館には、ピアス作品はなんとそれしか置いてなかったのです。)おっしゃるように大人の女性の心理が鋭く描かれていて、それまで日本の児童書には「やさしいお母さん」しか登場しないような気がして少し不満だったので(今から15年くらい前の話です)、すごく新鮮だったのをおぼえています。最後の方ではポロポロ泣きながら読みました。

らとさん

コメントをありがとうございます。
深く深く心の中を描く作家ですよね。
もう次の作品がつくりだされないというのが、とても寂しいです。

はじめまして。児童文学大好き人間です。
ピアスも大好きでした。「トム・・・」を読んだあと手に入る本手当たり次第読んだのを思い出します。ある意味至福の時でした。大人でも子どもでもいい、ひとりでも多くの人に出会って欲しい物語ばかりで・・・寂しいです。

野々宮さん

いつも心のこもった言葉をありがとうございます。
なんというか、物語を紡ぐ人たちは本があるからこそ永遠の存在に思えてしまうのですが、命は有限ですものね。訃報は寂しいです。
空気の中にひそむ気配、ほんとうにそうですね。英語で購読された授業、実りあるものだったのでしょうね。かみしめるように思い返せるというのは、きっとしあわせな時間だったのだと想像します。私にもそういう時間があり、いまもそのような時間をもてるのは幸せです。

三月書房はしみじみ好きです。あそこに行けたことはわずかな回数ですけれど、時を忘れるほど店にいるのが楽しかったです。よい本と出合えますように。野々宮さんに教えていただいた山田稔さんのエッセイをゆっくり読み始めています。

野々宮さんもどうぞよいお年を。

こんばんは。訃報つづきで寂しいことです。
この秋、遅ればせながら、モグラ紳士の話を読んだところでした。ピアスのものは、どの作品も好きです。この方は、空気の中にひそむ気配のようなものを書ける作家でしたね。
『こわがっているのは誰?』に所収の「黄色いボール」を英語で講読する授業に出たことがありますが、あれは至福の時間でした。今でも自分の拙い日本語訳を取りだして、原文から感じとったものを味わいなおすことがあります。
今日は仕事納めでしたので、明日元気があれば、三月書房に出かけようかと思っています。好きな店で、年に一度くらいは買い物に行くのですが、今年はまだでした。急に寒くなりましたが、お身体大切に、どうぞよいお年を。

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