知らない言葉
前回は真っ赤な表紙が目印だった「yom yom」。今回は白が基調。
まだ全部は読んでいないのだけど、印象に残ったところ。
(中略)また本書には今の子どもの聞き慣れない――子どもどころか大人にも――言い回しや言葉が多出するが、それが作品世界の堅固なつくりを担う素材のようである。大体、「子どもに分かる範囲」の言葉なんて、そもそも子どもは子どもだましと馬鹿にする。確かに言葉は時代と共に変容する生き物だ。だからこそ、久しく使われなかったそれが目に入り、口の端に上ったとき、実に新鮮かつ魅力的に蘇生する。そして作品世界の気品(これは石井桃子個人のもつ確固たる何かだろう)から読み手の言語世界の豊饒へと働いてゆく。その確かな感覚がまたそれぞれの「幸福感」を支えてゆく。
『クマのプーさん』 「はちみつ色の幸福に耽溺する」 梨木香歩より
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