The Arrival
すばらしい。
作者 Shaun Tan のサイトで、少しこの本の中身も見えるのですが、実物を見ると、やはり実物じゃなきゃわからないすごさに圧倒されました。
本のカテゴリは絵本ではなく、グラフィック・ノベル。サイトのコメントを読むと、絵本にくらべるとまた違う可能性を感じたようです。特にレイモンド・ブリッグズの絵本『ゆきだるま』には、"The Arrival" の構想をねっていた時に多くのインスピレーションを得たと言っています。文字のまったくない"The Arrival"も、コマ割りの絵を多用し、饒舌に物語をつむいでいます。そして、コマ割りからふいに見開きいっぱいシュールな世界が展開され、よりいっそう引き込まれるのです。
ここに描かれた移民たちの物語は、特定の国や言語を用いずに見知らぬ国での生活や人々をみごとにあらわしています。表紙にも登場しているこの不思議な生き物も存在感たっぷり。色彩は、モノクロからセピアに変化があるくらいで。一定のトーンでさまざまな人の表情、住むところ、食べ物、生き物が描かれ、静かなラストへのもりあがり、そして次につながるラストに、たっぷりの余韻が残りました。これは、手元に置いて何度も読む本になるでしょう。少し古めかしいつくりの大判な形が物語にとてもよくあってます。
アマゾンより、The Book Depository (送料無料!)の方が安くて早いかも。ここもよくチェックしていると£10以下になる時があるのです。
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