短編小説
雑誌「考える人」、今回の特集は「短編小説を読もう」。丸谷才一、川上弘美のインタビュー、村上春樹のe-mailインタビュー、橋本治と高橋源一郎の対談、加えて堀江敏幸、ジュンパ・ラヒリの短編も収録されている。でもって、表紙写真もいい。誰かの本棚ではなく、撮影用の本棚のようなのだけど、オタ・パヴェルの『美しい鹿の死』や、ロジェ・グルニエの『フラゴナールの婚約者』、ジュディ・パドニックの『空中スキップ』など和書だけでなく、アリス・マンローの原書(『イラクサ』や"Runaway")などもささっている。
最初に読んだのは橋本治と高橋源一郎の対談。橋本が書いている連作短編について、とくに『蝶のゆくえ』についての語らいは、私もつよくつよく印象づけられた短篇集なだけにおもしろく読んだ。下記のようなやりとりがずっと続いていて、橋本氏が書く次の短編が楽しみになってきた。
高橋 これもどこかで橋本さんが書かれてたと思うんですけど、女の子の話を書くのはなかなか難しいかもしれない、それはつまり現代の女の子の幸せがわからないからって。その点はいまはどうなんですか。
橋本 いまでもそうですよ。小説を書くってことは、その人にとっての幸せって何だろうということをいちおう頭においてからじゃないと始まらないと思ってるから、若い人のことは書かないよね。
次は短編を読もうかなと思って、雑誌をぱらぱらした時に目に入ってしまったのが、中村好文の「小屋の流儀」。この「考える人」の雑誌は毎号買っていないので、単独で読んだのだけど、なんとも魅力的な風呂小屋の設計と写真が載っていた。よし、家のローンが終わったら、つれあいにこれをリクエストしよう。
中村好文という人の名前を知ったのは、一年ほど前の夜の病院。子どもが指を骨折して腫れがひどく痛みをつよく訴えるので、救急でかかったのだ。総合病院の夜間救急なのでいろいろな人がたくさんくる。待合室で流れていたTV番組にこの人が出ていた。子どもとふたりでぼうっと見ていたことを思い出した。すてきな家をつくっていて、子どもが「いいね、こういう家」と言っていた。
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表紙画像 by amazlet
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shokoさん
あぁ、そうだ。橋本さんの古典ものはよさそう。「ひらがな日本美術史」シリーズも読んでみたいんです。『蝶のゆくえ』はぜひぜひ。
それと私信で恐縮なのですが、メールの返信、今週ちょっといっぱいいっぱいなため、期日までには送りますのでもう少しお待ちくださいますか。すみません!
投稿: さかな | 2007.04.12 23:03
さかなさん
本棚がいっぱいになって、彼の作品、だいぶ図書館へ持っていったのですが、あれ、どうなったかなあ。
私は、古典のほうから入ったので、窯変源氏物語とかはいまだに残してあります。桃尻娘のシリーズは、青春(!?)時代に読んだので、心に残ってます。
最近、ご無沙汰していたのでまた本、読んでみようと思います。
『蝶のゆくえ』ぜひ読みます。
投稿: shoko | 2007.04.12 20:04
上野さん
ありがとうございます~。このメルマガを取ろうと思いつつ取っていなかったのでした。やはり表紙用の本棚なのですね。ちょうどタイトルの部分が隠れていて、あー、この後ろにある本のタイトルも見たいと思いながら、一日に何度か眺めてしまいます。
ここに書かれているように、吸引力がすごいというか、本棚をじっくり見ることのできる楽しみもあり、表紙魅力にはまってます。それだけでこの号は買ってよかった。
橋本さんは、ほんとすごい。巨人ですね。思想家であり批評家でもあるところは存分に承知していたのですが、『蝶のゆくえ』で小説家としての力量をまざまざと見ました。
投稿: さかな | 2007.04.06 22:47
http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/mailmag_html/225.html
これは読んでいらっしゃいます?
私、買わなきゃと思いつつ、まだ買ってないんです、この号。橋本さん、本当に素晴らしい作家であり、思想家であり、批評家であり、ですよね。いろんな意味で目が離せない人です。
投稿: 上野空 | 2007.04.06 17:09
shokoさん
私はそれほど橋本さんのよき読者ではないので、オススメありましたら教えてくださいませ! 『蝶のゆくえ』は読まれました? これは私からの強力オススメです。
レビュー思い出してくださってありがとうございます~。shokoさんのレビューも今月楽しみにしています。
投稿: さかな | 2007.04.06 09:08
せいさん
『蝶のゆくえ』はせいさんのおかげで出合えた一冊です。やっぱり橋本治はすごいなと思わせてくれた短篇集でした。これを書いて「幸せって何だろう」と思いながら書くのかーと。ぐぐっと本人でさえ気づいていない深いところを、橋本氏なら見えるのではないかと思いました。
最近は読んだ本を書く場所のために、言葉の節約ぎみ(?)なのですが、いい本との出合いはつきることなくあり、こーふくを感じます。せいさんもよい春を過ごせますように!
投稿: さかな | 2007.04.06 09:07
橋本治さんに昔どっぷりはまっている時期がありました。それだけで、これ買おうかな、なんて。
別の記事ですが、『いっしょにあそぼう』はこないだなぜかこれの原書がアマゾンからお知らせで送ってき、チェックしていたところ。『おとうと~』のレビューを思い出していました。
投稿: shoko | 2007.04.06 03:45
>その人にとっての幸せって何だろうということを
ん~。考えさせられます。その人にとっての幸せをイメージできるのって、その人の輪郭をとることに近いのかな。
なかなか本も読めぬ昨今ですが、さかなさんのブログを読んでると、それだけで読書した気持ちになれちゃいます(こらこら)。
読書した時の幸せ感が、おお、と胸に迫ってくるような気持ちといいますか。間接体験でも、読書はなかなか良いものです。
投稿: せい | 2007.04.05 23:18