漢字と平仮名
「群像」4月号の山田詠美×川上弘美対談「小説とは地味なものです」がおもしろかった。おふたりの最新作である『無銭優雅』と『真鶴』をめぐってというサブタイトルにあるように、この二作を読んでいると、より楽しめる内容。小説をどう書いていくか、設定し肉付けしていくか、その構築をめぐる言葉のかけあいが、お互いにすれ違うことなくかみあっていて、共通の土壌をもっていることが伝わってくる。おふたりが好きな田辺さんの作品についてや、尊敬すべき文学ミーハーな方のことなど、楽しそうな話っぷりだった。
『真鶴』は平仮名が多用され、『無銭優雅』は著者自身も言っているように「すごく漢字が多い」。でもって「言葉じり」がすごく大事、文字は大事という。漢字というのはイメージで、イメージを限定するためにも『無銭優雅』では漢字を多くつかった。『真鶴』は平仮名ゆえに、せきとめられる。イメージが限定されないがゆえに。このことは、私は未読だけれど、「文學界」3月号の“ニッポンの小説”高橋源一郎氏が書いているとのこと。
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