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2007.10.21

どの言葉も引用したくなる

 この本を読んでいる最中、どの言葉もノートに書き写したくなった。 あれこれページを繰っていると、どの言葉もわかりすぎるくらいにわかり、こんな風にまっすぐ表現できるんだと、どれだけの安心感をもらったか。
 まるで、本の中の著者と語り合ってるかのような気分になり、くつろいだ気分で好きな飲み物を口にしながら、夜中に読了した。

 夏、わたしはおじといっしょにリンゴの木の下でレモネードを飲みながら、あれこれとりとめもないおしゃべりをした。ミツバチが羽音を立てるみたいな、のんびりした会話だ。そんなとき、おじさんは気持ちのいいおしゃべりを突然やめて、大声でこう言った。「これが幸せでなきゃ、いったい何が幸せだっていうんだ」
 だからわたしもいま同じようにしている。わたしの子どもも孫もそうだ。みなさんにもひとつお願いしておこう。幸せなときには、幸せなんだなと気づいてほしい。叫ぶなり、つぶやくなり、考えるなりしてほしい。「これが幸せでなきゃ、いったい何が幸せだっていうんだ」と。

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コメント

ちゅん吉さん

コメントありがとうございます。
自分で言えるともっといいけれど、誰かに言ってもらえると、もっと支えになる――そんな言葉がいっぱいですね。
もっと早くに気づいて、SFマガジンも入手しておけばよかったと後悔しきりです(泣)。

初めまして。夜分失礼します。
フラフラしてたら大好きなヴォネガットさんがいたので、つい立ち寄ってしまいました。
本当に胸の奥が熱くなる言葉が多い方ですよね。
これ、先だって購入しました。SFマガジンの追悼号と一緒に。
未読です。もったいないので、次はこれ読みます☆

上野空さん

これ遺作のようですね。かの国ではベストセラーとか。こんなに小気味よい本が売れているなんて、さすがヴォネガットと思いました。シニカルだけど、すっごくやさしい文章がいっぱいありました。

そうそう、ヴォネガットの文章って、特にエッセーって、どれもこれもどっかにしまっておきたくなる言葉ばかりですよね。シニカルにあきらめているようで、底のほうにちゃんと希望の炎がチロチロ燃えています。
これ、まだ未読なんですよ。読まなくちゃ!

せいさん

おっしゃるような人柄を感じる文章でした。ほんとによかったです。図書館で借りたおですが、買っちゃいそう。手元に置いて読み返したくなる本でした。

おお、ヴォネガットの本とは。
「猫のゆりかご」くらいしか読んだことがないですが、すごい皮肉屋で
すごい優しい、何ともいえない味わいのある人ですね。
図書館入荷分は早くも予約でいっぱいでしたが読みたいなぁ~。

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