100年(3)
100年前の今日、アストリッドさんが生まれました。たくさん、たくさん物語を書き、2002年に空へと旅立たれたのです。
『ペーテルとペトラ』のcopyrightをみると、テキストは1949年になっています。1944年から懸賞小説に応募し1945年に『長くつ下のピッピ』が懸賞小説一等賞で刊行されていますから、この作品も初期のものでしょうか。絵のcopyrightは2007年。2001年にエルサ・ベスコフ賞を受賞しているクリスティーナ・ディーグマンが描いています。
物語はグスタフ・ヴァーサ小学校で起きた不思議な出来事について――。一年生のクラスに、小さな男の子と女の子が「名まえは、ペーテルとペトラです」と名のり、学校にいれてほしいと先生にお願いに来ました。先生は小学校の学区に住んでいるのだからと了解し、ペーテルとペトラは熱心に勉強します。最初にふたりがドアをコツコツした時に教室のドアを開けたグンナルが、ふたりの一番の友だちになります。グンナルはペーテルとペトラが大好きになり、冬のある日、ふたりの家を訪ねることにしました。グンナルは子どもですが、小さい人たちの小さい家にはさすがに入れません。外からふたりの家の様子を眺めたあと、3人で外遊びをします。こうして、いつまでも友情をあたためていけると思っていたとき……。
リンドグレーンは、楽しい楽しい物語とともに、胸がきゅうっとなるような、優しくてせつない物語も多く書いていてます。この絵本も、読んでいてほかほかとうれしくなるのですが、センチメンタルではない、せつなさにも満ちています。私はペーテルとペトラが、グンナルに書いた手紙の文章――やあ、グナル、きみはすてきなおともだち。――という箇所が大好きで、読むとなんだか涙が出そうな、うれしいようなさみしいような気持ちになるのです。
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