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2007.11.16

静と動

わが生よ おまえに 明らかな輪郭など
求めはしまい とり澄ましたところで ものに憑かれたとて
わたしにとっては同じこと 不安におののくおまえの道程では
蜜も苦艾も おなじ味わいを 持つ

動きを すべて蔑む この心臓は
不意の驚愕に 砕け散ることも まず ない
田園の静寂には 時として
鳴りわたる 銃声が 一発

『イタリアの詩人たち』須賀敦子 エウジェニオ・モンターレの詩を引用

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コメント

aostaさんもお好きなのですね。

ご自身の文章もすばらしいし、翻訳もまたすばらしい。
私もほとんど単行本でもっているのですが、全集が文庫本化されたので、少しずつ買って読み返そうかなと思っているところです。読むたびに新しい出合いがありますしね。

須賀敦子さんは、私ももっとも尊敬する作家の一人です。彼女の作品を読むときはなぜか居住まいを正して読みたくなります。
毅然とした品格を感じさせる文章、無駄がなく美しい・・・生きることの優しさと厳しさ、真の意味において「生きること」を深く考えた人であったと思います。

一冊、また一冊と買い集め、その度かじりついては読んだそれぞれの本。
久しぶりに全集が欲しいと、本気で思いました。(実際にはお金がなくて買えません・哀)

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» 『供述によるとペレイラは・・・』 ペレイラの冒険 / 「あるたましいの復活」 [消えがてのうた]
アントニオ・タブッキ。 このイタリアの作家を私は知らなかった。 94年秋、イタリアのもっとも重要な文学賞のひとつといわれるヴィアレッジョ賞を受賞したこの小説の翻訳者が、私がもっとも敬愛する作家のひとりである須賀敦子でなかったとしたら、おそらく手に取ることもなく、意識の外側を通り過ぎていった名前かもしれない。... [続きを読む]

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