あれこれ
昨夜読んだ、大庭みな子さんの『七里湖』は、たゆたうような不思議な雰囲気の中、確かに心をわしづかみにされた。すばらしい作品だった。『浦島草』を読まなくてもこの作品だけでも充分に堪能できるだろうけど、ぜひ『浦島草』も読んでみなくては。
この小説は自筆で書いた最後の作品とあり、未完で刊行されているのだが、書き上がっているところまではしっかりと完成されているので未完すらも余韻を残すように思えた。結果的にはあとがきのようなエッセイの最後の一文は、その前日に読んだ、『真贋』(吉本隆明著)に書かれた、“毒”に通じるものがあるように感じた。
『がらくた』(江國香織著)も読む。がらくたのような不幸をきれいに描くことに関しては本当にうまいと思う。
『おんがくかいのよる』(たしろちさと作・絵)の絵本をゆっくり読んだ。たしろさんの絵は複雑な色合いが美しい。大きな版で小さな動物をいい感じに描いている。
ちびちゃん大ファンのジーニーファンブックが刊行! カバーをはずした表紙が原書ともどもずらりと見られるのがことのほか気に入り、何度も「どの本が一番好き?」とアンケートを家族にとっている。この本は日本向けにイラストが描かれているが、それが本当にすてきにかわいい。
「みすず」11月号が届く。服部文祥氏の「一頭目の鹿」が収録されている。レジャーハンターではない狩猟をしているという。登山家の服部氏が、登山について書いた文章を読んだのもこの「みすず」でだったが、今回は『サバイバル登山家』その後の狩猟について。サバイバル登山の文章があまりにも強い印象を残したので、狩猟に関するものも、もう少ししてからの文章が読みたい。ほか、「みすず」の連載で楽しみにしているのは、岡真理氏のアラブ、祈りとしての文学。今回の「アッラーとチョコレート」も読みごたえがあった。
今日の夕ごはんは、鶏のおろし煮、れんこんとニンジンのきんぴら、五分付きごはん、チンゲンサイいといりこの卵スープ。
« 気になる新刊 | トップページ | シェイカー通りの人びと »
コメント