スロボドキンのあたたかさ
この絵本は、1968年刊行の〈世界のカラーどうわ〉『ねぼすけ はとどけい』を、新たに刊行したものとあります。
スイスの山奥にある小さな村にある小さな時計やさんのお話。
たくさんの、鳩時計でいっぱいのお店は村の子どもたちも大好きな場所です。
時間になると、鳩時計のハトたちがいっせいに「ポッポー」と鳴くのは壮観なのですが、たったひとつの時計だけ、いつも1分ほど遅れて「ポッポー」と鳴きます。村の人たちにとっては名物時計ですが、他の土地からきた人がみると、この時計やさんの時計は正確じゃないなと早合点してしまいます。いつか直そうと思いつつ、時計やのおじいさんに、なかなかその機会が訪れません。ところがある日、ガラビアの王様がこの村にやってきて……。
ひとつの鳩時計だけが、なぜ遅れるのか。意外な答えを教えてくれた人も含めて、小さなサプライズが何度か出てきます。原書は1962年の刊行です。いまから40年以上も前に出ている絵本ですが、古びた感じはありません。絵本の中の空気は、いつの時にも感じていたいと思えるあたたかみに満ちていました。
少し長いお話ですが、ちびちゃんもぐぅっと入り込んで聞き入っていました。クライマックスは私の手をぎゅっとにぎって私の顔を心配そうに見ていたほど。「ポッポー」というハトの声をさっそく真似ていました。お兄ちゃんたち2人も「あぁ、おもしろかった」と満足そう。スロボドキンの、深い優しさを感じるオススメ絵本です。
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