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2007.12.13

ノルゲ

 『ラットレース』を読み、『サクリファイス』を読み、前者はおもしろさのキモを見つけられず、後者は久々に心ゆさぶられた一冊。
 『佐藤泰志作品集』も少しずつ読んでいるところで、「海炭市叙景」の強弱ある連作短篇に力ある作品を読んだ充実感を味わう。
 『ノルゲ』は現在進行形読書本。なかなか「おれ」という一人称に慣れず、これが「私」だったら、もっとごつごつせずに読めるかもと思いながら、なかなかスピードがあがらなかったが、ようやくのってきた。こうなると、ひたすら本の中に中に入っていく読みなので楽しい。

 昨夜は『ささやき山の秘密』(ジョーン・エイキン作 越智道雄訳・冨山房)を読む。デザインの雑誌を読み、華やかな装幀をみたあとで、この本を手にすると、物語のもつ力強さを直球に感じられ、ほっとした。お化粧もすてきだけれど、やはり中身が大事。とはいえ、関西弁調の会話文には笑ってしまった。古い本で、県立図書館から取り寄せて読んだのだが、私が読者第一号なみに美本だった。

 子どもが時間割をやぶいてしまい、パズルのようにして読み取っているので、エクセルでちゃちゃっと作って渡すと、「かっこいー!」と喜んでくれた。えっへん。

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コメント

野々宮さん

いつも教えてくださってありがとうございます。「群像」のその号は未読ですので、ぜひ読んでみようと思います。昨晩、『ノルゲ』を読了しました。とてもよかった。実は、佐伯作品はこれが初めてです。だんだん「おれ」もしっくりなじんで読めました。時折はさまれる、マティスの物語が陰影を与えていますね。とても新鮮な文体でした。こんな読後感が待っていると予想できませんでしたし。これからさかのぼって作品を読むのが楽しみでなりません。

『ノルゲ』を読んでいらっしゃるのですね。数年前に図書館で『遠き山に日は落ちて』と出会い、それ以降の佐伯作品を愛読しています。この夏は『鉄塔家族』も読み、新聞小説には読み手にも書き手にも、祈りのような気持ちをもたらす作用がある気がしました。堀江敏幸『めぐらし屋』、小川洋子『ミーナの行進』にもそれを感じています。『ノルゲ』の一人称については、「群像」掲載の著者と堀江敏幸との対談(今年のたぶん4月号)が示唆に富んでいます。未読でしたら、ご一読をおすすめします。

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