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2008年1月

2008.01.31

アンドルー・ラング世界童話集刊行開始

 

 このたび東京創元社では、日本で最初に〈ラング世界童話全集〉を刊行した出版社として、今回まったく新しい編集、新しい訳で、この〈アンドルー・ラング 世界童話集〉を刊行することになりました。すべて、原書の各巻より収録作品を選び直し、昔話としての持ち味や雰囲気を壊さないように、と同時に現代の子ど もたち(もちろん大人も)も面白く読めるように工夫して翻訳しました。

 こんなすてきな挨拶とともに、ラングの童話集が本当に美しい姿で読者の前にあらわれました[版元Link]。東京創元社からポプラ社、偕成社文庫と移りかわりながらずっと読者の近くにいたラングが、今度は最初の東京創元社にもどり、15人の新進翻訳家の訳と西村醇子さん監修のもと刊行されたとあれば、昔話好きにとっては読まずにはおられますまい。

 子どもの頃は偕成社文庫で親しんだラング。あおいろとあかいろで始まるこの2冊、まだ全部は読めていません。読むのが速い方の私ですが、昔話、民話だけは、一気読みができないのです。骨太でたっぷりとした楽しみがあり、それぞれの話にコクがあるので、余韻を楽しむためにも、まずはちびりちびりと子どもと共に、そして私ひとりでとじっくり味わっています。

 ひじょうにうれしいのは、総ルビだということ。漢字が読めなくても、ルビがあれば子どもも読めます。少しずつ読んでいくと、訳も、昔話らしい素っ気なさがより話をくっきりさせ、すっと入り込んで楽しめます。短い話もあれば長い話もあり、子どもの頃は出典などまるで意識していませんでしたが、アラビアン・ナイト、ペロー、アスビョルンセンとJ・モーなど、多種多様な話が収録されているのには、あらためておどろきました。

 総ルビだからといって、子どもにおもねた文章ではないことも、うれしいことです。子どもから大人まで楽しめる文体になっていて、おもしろおかしくしようとした、騒々しさや華美はありません。挿画も英国での最初に刊行されたものを使われたとあり、これもまた美しい絵です。

 ちょうど今日届いた、岩波書店のPR誌「図書」2月号で脇明子さんが「人間を育てる物語の力」と題されてこう書かれています。

 人間は物語を語ることによって世界について考え、現実と折りあいをつけ、新たな可能性を探りながら、知性の領域を広げてきた。昔話や神話や伝説のなかには、似ているけれど少しずつ違う筋書きやモティーフが数限りなくあるが、それらを次から次へと辿っていると、物語は、創作された文学作品を含めて、どれひとつとして孤立したものではなく、私たちがつかもうとしている世界の全体像に、それぞれの角度から迫ろうとした試みなんだと思えてくる。
 だからこそ物語は、子どもが人間になっていくために、ぜひとも必要なものだ。骨太な昔話で物語というものの基本をつかみ、それを足がかりに創作文学の豊かな世界へ分け入れば、人間を知り、自然を味わい、自分の心というやっかいなものを理解する糸口さえ見出すことができる。

 このラング童話集は、子どもにとっても大人にとっても、いまを生きる力になるでしょう。少しずつ読みながら、感じたことを書いていきたいと思っています。

2008.01.30

ごはん

 月曜日の夕ごはんは、鍋焼きうどん。風邪をひくとなぜかうどんが夕飯の食卓にのぼります。
 火曜日の夕ごはんは、白菜ときのこと豚肉のあんかけ。きゅうりと春雨とツナのサラダ。五分づきごはん。大根と油揚げのおみそ汁。
 今日、水曜日の夕ごはんは、水餃子にほうれんそうとしらすのおひたし、五分づきごはん、キャベツとベーコンのスープ。

 子どもが園でとなえことばを覚えてきて聞かせてくれます。ついそのリズムがうつって、同じようなリズムで書いてみました。

 『子どもが忌避される時代』を読了。いつも読んでいる日記で紹介されていた一冊で、引用されていた「(メディアが子どもに及ぼす)根本的な影響は人と人の相互関係に割って入ってそれを変貌させるこの機能ではないか」について考える。あと、違う本なのだけれど、『女ですもの』というインタビュー集で子育てについていろいろ触れられとても共感したのだけれど、同じようなことが『子どもが忌避される時代』にも書かれていた。世の中が子どもに冷たくなっている、ひとむかしまえは、日本にきた外国の人が子どもを慈しむ姿に感動を覚えたというのに、それがどんどんなくなっていくということが書かれていたくだりには、実感として私もそう思う。

2008.01.29

気になる新刊

                                                                                          

2008.01.28

飛ぶ教室 河合隼雄さん追悼号

表紙のクマは隼雄グマだそうです。ニホンツキノワグマとのことです。
雑誌「飛ぶ教室」は河合さんがつくられた雑誌でもあります。
児童文学の冒険をする雑誌として創刊された「飛ぶ教室」はいまから27年前に創刊。
その創刊と廃刊、復刊に河合さんがどのように関わられたか、心を寄せられていたのかもこの号には掲載されています。
新潮社の雑誌「考える人」の追悼号でも思ったのですが、河合さんを思う気持ちを書かれる時、どの方もそれは真摯に心の深いところから言葉を探して文章を書いているのを感じます。読んでいて、自然にぐぅぅっとした気持ちになります。

子どもの頃を過ごされた丹波篠山のきれいな写真がいくつも載っています。小学校5年の頃の家族写真を「隼雄はこれや」とお兄さんの雅雄さんが指さされている写真もあります。

ひとのこころを考えるために神話が生まれた。
やがてそれだけではこころは捉えきれなくて
文学が生まれ、さらに、文学だけでは捉えきれなくなって
児童文学が生まれたのではないでしょうか。
そう河合隼雄さんはおっしゃった。

この文章から追悼の特集が始まります。

2008.01.27

つぎつぎと

 私を発端に、つれあいと上の子がダウン気味。ごめんよ。はやくよくなりますように。
 佐藤正午さんの新作『アンダーリポート』読了。『5』があまりにもよかったので、それにくらべると、と思ってしまう。内田春菊さんとよしもとばななさんの対談集『女ですもの』読了。気持ちのよい会話が行き交って心地よい読後感でした。

 夕食後、家族の中で元気なふたり、ちびちゃんとまんなかの子の将棋を鑑賞。私も将棋を覚えたいなと思いつつまだ本気でそうは思えてないのか、ちっとも覚えられず。

 ヘルペスは薬が効いて痛みがとれてきました。今度は早く家族が元気になーれ。

2008.01.26

びっくり!

 marginalia [Link] さんのところで知り、朝一番に大声を出してしまいました。
 23年間続いていた、ネスレ子どもの本賞(旧スマーティーズ賞)が昨年の賞を最後に終わってしまうそうです。成人の審査員が選んだ本を子どもたち自身の投票によって受賞が決まるとというユニークな賞で、私の大好きなエミリー・グラヴェットの『オオカミ』も受賞作の一冊。最後になったしまった昨年発表の2007年度も6歳から8歳の部門で銅賞を受賞しています。ネズミの恐怖大全集という絵本で、これまたおもしろいつくりでした。他にもイギリスのそうそうたるメンバーが受賞しているもので、なにより子どもたちの視点で選ばれるという楽しみな賞でした。

最後の受賞作となってしまった2007年12月に発表された本

●5歳以下
 左から金賞、銀賞、銅賞
When a Monster Is Born Penguin Dexter Bexley and the Big Blue Beastie

●6歳から8歳
 左から金賞、銀賞、銅賞
Ottoline and the Yellow Cat Ivan the Terrible Little Mouse's Big Book of Fears

●9歳から11歳
 左から金賞、銀賞、銅賞
Shadow Forest Catcall Here Lies Arthur

 スポンサー側の公式コメントでは、他の活動に重点をもっていくので賞の廃止は自然な流れといっていますが、スポンサーであるネスレが発展途上国で行っている活動が物議を醸していることもあるようで、子どものための賞でありながら、大人の都合がどうしようもなく入り込んでくることに、marginalia さんも仰るように残念でなりません。

 ■参考(英文) Guardian の記事 [Link]

2008.01.25

ふぶき

 昨日はこの冬一番の吹雪で、止めておいた車には、つららと大量の氷が付着し、車体があたたまらないとどうしようもない状態で、子どもらを迎えに出かけたのですが、まんなかの子が「なんだかすごいボロイ車になったみたいだね。どこかで拾ってきたみたい」と言うほど。ちびちゃんは、ぽきぽきとつららを楽しそうに折っていましたが、車にいれるとあたりまえですがすぐにとけてしまうつらら。

 風邪はだいぶぬけ体が楽になったのですが、免疫低下からか持病のヘルペスが。ちぇ。顔に出るのでイタタタの日々です。薬が早く効きますように。

 いつもしっくりくる本を教えてくださる友人ブログで、『カメレオンのための音楽』を知り、さっそく読んでいるところ。カポーティを野坂氏が訳しています。これ、いいです。とっても。会話文を読んでいると、スタッズ・ターケルのインタビュー本を思いだした。そう、あのぶあつい本。何年も前にその時していた仕事を辞めようと書店に入り、転職雑誌を買うつもりが、ターケルの『仕事』を手にしてしまい、なんだか転職しなくてもいいかと思えてきたことがあったっけ。

希望―行動する人々 (文春文庫) 死について!―あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。 カメレオンのための音楽 (ハヤカワepi文庫)

 今日はうれしい電話もありました。名古屋に住んでいたときに知った児童書専門店「えほんのみせリトルベア」[Link]の方からです。なつかしいなあ。思い出してもらえてうれしかったです。お近くの方、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。私はこのお店から、とよたかずひこさんの絵本などを教えていただきました。
 京都にいた時は、「きんだあらんど」がマイ児童書専門店でした。芝田勝茂さんや、アン・ファインを教わったのはここ。と、ふと昔をふりかえってしまったりして。

2008.01.24

気になる新刊

                                                                                          

2008.01.23

ふしぎなでまえ

ふしぎなでまえ (講談社の創作絵本シリーズ)

 今日、子どもと読んだ絵本は『ふしぎなでまえ』。ちびちゃんとは、登園前に3回読み、帰宅してから3人一緒に読み、それからちびちゃんはまた一人で繰り返し読んでいた絵本。

 『ふしぎなでまえ』 かがくいひろし 
 講談社 ISBN 978-4-06-132370-4  定価1500円(税別)

 いもすけだんちには、じゃがさんと、さつまさんが一緒に暮らしています。
 ものぐさでゆうめいな二人は、おなかがすいても台所に立ちたくありません。
 あらあら、二人の後ろにある台所、なんだかすごいことになっているようです。
 つくりたいけど、おなかのすいた二人は、出前をとることにしました。
 ラーメンに、カレーライスにおすしにてんどん。
 食いしん坊な二人でもあるようです。
 さて、出前のお味は?

 少しレトロな雰囲気をもつかがくいさんの絵本は、食べ物がいつも美味しそうに描かれている。デビュー作の『おもちのきもち』(第27回講談社絵本新人賞受賞作)のおもちも、へなちょこなんだけど、おもちは美味しそうで、注目作家と頭に入れておいた、のにも関わらず、なんと、あれから『もくもくやかん』や『おむすびさんちのたうえのひ』、『だるまさんが』と3冊も出ているなんて気づいていなかったとは不覚、反省。というのは大人の私の事情で、読むよといって絵本をひらいた時、子どもたちの目はきらりんと輝いていた。この絵本はおもしろそうな匂いがするぞ、そんな目です。

 朝に3回読んでいるちびちゃんには、お兄ちゃんたちにぜったいクライマックスを言わないこと!と口にチャックをして読み始めます。何回読んでも、自分の声が絵本のじゃがさんたちがのりうつったように読んでしまう。不思議な出前の正体がわかると、子どもたち、へぇー! でもって、オチにもぷぷっと笑い。ちびちゃんは、「たいへんだよね」と言っていた。

 きっと食いしん坊じゃないかなと推測するかがくいさんの絵本、これからも読まなくちゃと思った今夜でした。

2008.01.22

肉ではなく皮

すばる 2008年 02月号 [雑誌]

 『世界屠畜紀行』の内澤旬子さんが、みずからご指名された永江朗さんによるインタビューが掲載されている号。インタビューはネットで読めます。[Link]
 永江さんのインタビュー記事は、とても読みやすい。そうか、内澤さんが本当に見たい知りたいと思っていたのは、肉ではなく皮だったのか。ハンターだったのか。

文学界 2008年 02月号 [雑誌]

 「文学界」この号では、世界文学は越境する  池澤夏樹×鴻巣友季子×沼野充義 21世紀に読むべき作品の基準は何か? 翻訳の役割とは? が掲載。河出ではじまっている世界文学全集について、池澤さんは何度となくなぜ日本の作品をいれなかったのかを聞かれているとのこと。『オン・ザ・ロード』は、とっっっても楽しかった。『楽園への道』も読まねば。

 今日読了したのは、『犬身』。松浦理英子氏の著作は初めて。キワモノを書く作家なのかしらと食わず嫌いしていました。これはすばらしくひきこまれて、気持ちをわしづかみにされました。いやはやすごい。

2008.01.21

風邪っぴき

 くぅ、家族でひとり風邪っぴきになってしまいました。あったかくして、湿度もあげて、葛根湯のんで、と養生中です。

 夕ごはんは、豚肉とにんにくの揚げ物。風邪をひくとにんにくを食べたくなる。これを、甘酢で。いつも、じゃじゃっと適当に合わせてるのですが、今日はちゃんとレシピにそって。桜海老をみじんぎりにしてごま油で炒め、酢、醤油、水、砂糖で煮ます。平野レミさんレシピ。他はポテポテサラダ、五分つきごはん、おみそ汁(豆腐、わかめ、せり、ふのり)。子どもたち、肉に夢中でポテポテサラダの存在になかなか気づかなかった。

 読んだ本は、ジャイブのピュアフルアンソロジー集文庫、『卒業』、『放課後』、『手紙』に収録されている梨屋アリエさんの高校青春ものを。おもしろかった。こういう読み切り連作短篇よいなあ。『スリースターズ』の次に刊行されたのが、この『手紙』で、新刊がフォア文庫から『なんであたしが編集長!?』出ていると友人から教わる。シリーズものは、少しまとまって出てから読む方がいいかなとちと思案中。

2008.01.20

ごはん

 朝ごはんは、イクラをひとりスプーンひとさじ分とキヌサヤとワカメとトマトのスープ。
 昼ごはんは、焼きそばとたまごとワカメのスープ。
 夕ごはんは、牛丼とはまぐりのすまし汁。

 今日読んだのは、『ブタとサツマイモ』。南太平洋の国・パプパニューギニアの暮らしを生態学を専門分野とする著者が、その土地に暮らして人々の生活をみつめた、子ども向けノンフィクション。主食となるサツマイモ、「最高のごちそうであり、ペットであり、狩猟の対象となる動物」であるブタに主眼をおいて、おもしろい読み物になっていた。サツマイモが何十種類もあって、両手に別々の種類のサツマイモをもち、食事をするというのが興味深かった。

ブタとサツマイモ―自然のなかに生きるしくみ (自然とともに)
梅崎 昌裕
小峰書店 (2007/11)
売り上げランキング: 300948

2008.01.19

The 2007 Cuffies

 アメリカのニューベリー賞やコールデコット賞という児童文学の華やかな賞がたっぷり紹介されてから、楽しみにしていたのは PW の  Cuffies。2007年度に刊行された本を、児童書の売り手たちが個性的な選択眼の項目で紹介してくれます。

 The 2007 Cuffies[Link]、その年もっとも大好き!と思えた絵本は――"Toy Boat" Toy Boat

 小さい子から楽しめる絵本のようで、少年が毎日遊び、寝る時も一緒にすごしている、おもちゃのボートが冒険する話。 もっともすばらしい絵本としては、以前こちらにも紹介した"The Arrival"。読み物では、中学年向けとしては、" The Wednesday Wars"。今年、ニューベリー賞のオナー作品でもありますね。YA作品では、"The Absolutely Tur Diary of a Part-Time Indian"。  この作品も2007年度全米図書賞(児童書部門)受賞作と、賞がすべてではないでしょうが、注目を集めた一冊であることはまちがいないのでしょう。

The ArrivalThe Wednesday Wars The Absolutely True Diary of a Part-Time Indian (Little, Brown)

 PWならではのは、もっともおもしろかった本。"Diary of a Wimpy Kid"。この表紙もあちこちで見かけましたし、ニューベリーの予想であげていた児童書関係者のブログも読みました。ベストセラーにも名が上がっていて、確かにおもしろそう。Diary of a Wimpy Kid: Rodrick Rules もう一冊、名前があがっていて、"The True Meaning of Smekday"。The True Meaning of Smekday

 Adam Rex って何を書いてるんだっけと思ったら、この絵本 だ。現物はみていないけれど、この絵本もおもしろおかしそう(ニューヨークタイムズのベストセラー絵本)なので、期待できそう。何せ作者サイト[Link]、めちゃくちゃ濃そうですし。Frankenstein Makes a Sandwich

 と、全部は紹介できないので、あと3冊だけ。大好きな表紙本としてあがっているのは、"How to Paint the Portrait of a Bird"。画家は、2004年にコールデコット賞、ボストングローブ・How To Paint the Portrait of a Birdホーンブック(絵本部門)賞を受賞した『綱渡りの男』を描いた、モーディカイ・ガースティン。将来有望新人画家としてあがったのが、Kevin Sherry。同じく新人作家としては、Linda Urbanと、おもしろ本で名前のあがった"Diary of a Wimpy Kid"の作者、Jeff Kinneyの2人。
 I'm the Biggest Thing in the Ocean A Crooked Kind of Perfect

2008.01.18

ペネロピ

『ペネロピ』
マリリン・ケイ 永瀬比奈訳 ISBN 978-4-15-041158-9 定価(本体571円+税) ハヤカワ文庫

 2008年2月下旬より、テアトル・タイムズスクエア他全国順次ロードショーで公開される映画『ペネロピ』[公式サイトLink]のノベライズ本。

 主人公、ペネロピ・ウィルハーンは名家のひとり娘。家柄がすばらしく、ペネロピ自身もすてきな令嬢であるにも関わらず、お年頃になってもなかなか決まった人がみつからない。なぜなら……。

 おとぎ話のような設定なのだけれど、ストーリーに流れる空気は現代。ペネロピは、ひいひいひいおじいちゃんの悪しき行為のためにかけられた呪いのせいで、自由な生活を送ることができない。オシャレをして友だちと外出し、おしゃべりに興じることもしない。自分で店に出かけて洋服一枚買うこともない。母親も今のあなたは本当にあなたではないと繰り返し娘にいう。いま、こうして生きて本を読み、植物を育てている、ペネロピは、ではいったい誰なのか。

 少女の成長物語なのだけれど、おとぎ話をエッセンスに、現代の普遍的な物語になっている。最後のカタルシスはすばらしい! 夜中にひとりよんで、「きゃー」と思わず喜んでしまった。すてき、すてき。ペネロピいいな。映画がこの田舎にくるかどうかはおそらくムリだろうけれど、映像のペネロピにもぜひ出合いたい。

2008.01.17

気になる新刊

                                                                                                                       

2008.01.16

ぽつぽつと

 芥川賞に川上未映子さん、直木賞に桜庭一樹さんとのニュースをいまほど読む。今回はメッタ斬りコンビの予想がビンゴ[Link]でしたね。マイ図書館では一昨年くらいから「文学界」をとるのをやめているので、単行本を待つしかないのが残念。

 『ゴールデンスランバー』読了。数少ない伊坂作品を読んだ中では吸引力がいちばんあったように思う。『灯台守の話』読了。しみじみ、じわじわとよかった。

2008.01.15

マカロニではなく

 久しぶりに、リガトーニのカルボナーラ(Rigatoni alla carbonara)[レシピLink]をつくる。トマトときゅうりのサラダをつけて。
 子どもたちが、「このマカロニんまーい! 久しぶりだよね」と以前つくったことを思い出した様子。でも、マカロニではないのだよ。でもでも、オルチョを使ったパスタは本当に美味で、いつ食べてもしあわせ気分になれる。

2008.01.12

ほっこり

 しばし続いた緊張感からようやく解放。おつかれさまで、夕飯はぶりしゃぶ。初めてやってみたのだけど、おいしかった。昆布だしに水菜とぶりでさっぱりと。青ネギとゆずでいただきました。家族みんな、んまーい!と初めての味に感動、満足。
 おつかれさま。
 さあ、明日にむけて今日は早く眠ろう。
 明日は歳の神準備(私だけ)と柔道の鏡開き。

2008.01.11

彼岸花はきつねのかんざし

彼岸花はきつねのかんざし
 朽木祥・作 ささめやゆき・絵 学研
 ISBN 978-4-05-202896-0
 定価 1200円+税

『かはたれ』、『たそかれ』の作者、朽木氏の新作読み物が出た。今度はどんな物語を紡いでくれたのか。胸がはやった。

帯にはこう書いてある。

「あたし、わりあい化かすのがうまいんだよ。」と、子ぎつねはいった。
かけがえのない日々をうばったのは、一発の大きな爆弾だった……。

 戦争の物語なのだ。ちょっと肩に力が入る。どんな風に語られるのか、と。しかし、読み始めると、日常とファンタジーとのゆるやかな境界での語り口に、心はすっと物語に入っていく。

 也子(かのこ)の家の裏には竹やぶがあって、おばあちゃんは、おきつねさんに、しょっちゅう化かされている。お母さんは、子どもの頃よく化かされていたが、大人になってからは大丈夫だという。也子は、おばあちゃんや、お母さん、ねえやん、男衆のコウさんから、いろんな竹やぶでのできごとを聞いていた。そうしたら、ある日、子ぎつねにであう。「あたしは、まだ、おきつねさんとは、とうてい、いえない。」、そう自分のことをいう子ぎつねに。
 おきつねさんときつねさんは、どう違う? 子ぎつねは也子に「あんた、あたしに化かされたい?」と聞いてきた。

 あっというまに、きつねのいる世界と人間の住む世界がつながって、自然に物語は展開し、おきつねさんにも、きつねさんにも近しさを感じて、楽しくなってくる。でも、戦争が消えたわけではない。戦時下での物語、也子の住むところにピカドンが落ちる、ある刹那に――。

 朽木氏の筆致は、いつの時でも声高ではない。静かに、ほがからに物語を紡ぎつつ、被爆二世の作者は同じ土俵で厳しく冷たい戦を書く。おそらく、祈りをこめて。読んで受けとめるのは私だ。作者があとがきで書いた「子どもが子どもらしく生きることのできる日々」をつくるのも大人の私なのだ。

2008.01.10

今日はカレー

 年越しに遊びにきてくれた京都の友人・だんなは、喫茶店を営んでいます。珈琲とカレーのおいしい店ということで、今日、わが家にカレーを送ってきてくれました。きゃー!
 ゆっくり自然解凍させ、コトコトとあっためて今日の夕食にしました。ひとりぶんのご飯の量とカレーの量は電話で確認。
 つれあいの帰宅は遅いので、私と子どもたちで夕食にいただきました。
 おいしい! からくてふくざつな味ですっごくおいしい。子どもたちも「ゆうちゃんのおとうさん、プロだねー!」「なっちゃんのおとうさん、すごいねー!」と大喜び。からいので、まんなかと下の子は、これまたアドバイスどおり、ヨーグルトとメープルシロップでやわらげて食べ、上のシューヘーだけは、からいまま食べて「えっへん! ぼくはからいの食べられたよ」と満足。しあわせな夕食でした。帰宅したつれあいも、おいしいなとぱくぱく、でした。

2008.01.09

気になる新刊

                                                                                                                       

2008.01.08

潜水服は蝶の夢を見る

潜水服は蝶の夢を見る
ジャン=ドミニック ボービー 河野 万里子
講談社 (1998/03/05)
売り上げランキング: 4477
 

 2008年2月から映画公開される原作。映画は2007年カンヌ映画祭監督賞および高等技術賞を受賞している。映画公式サイトの予告編をみてから、本をぱらっと開いて読み始めたら、言葉の力にひきつけられ一気に読んでしまった。おもしろいタイトルだと思って惹かれていたのだけれど、これほどの意味をもった言葉だとは。読了してはじめてタイトルの意味を深く知りました。

 著者はもともとは作家ではなく、雑誌「ELLE」の編集長としてパリで活躍していた。しかし、ある日、突然の脳出血ののち、難病ロックトイン症候群とよばれる身体的自由を一切奪われた状態になる。ロックトイン症候群とは、自分の意識で身体を動かせない状態においても、意識は鮮明なのだ。自らの意識で動かせるのは、左目の瞬きだけだった。その瞬きで綴ったのが本書。

 43歳の働き盛り、恋人もいて、子どもも3人いた。仕事も順調で人生を順風満帆ですすんでいた時におそった難病。しかし、本書は、病気の痛みや苦しみ、それを乗り越えての執筆について費やされているのではなく、それまでの日々の追憶、回想、現在の思索、いずれもが、エレガントな筆致で的確に輪郭のはっきりした文章で綴られていて、ひとつひとつの文章がまるでおいしいご馳走のような味わいをもっている。構成もすばらしく、最後の二章、これを最後にもってくるという組み立て方に感じ入ってしまう。

 訳者あとがきタイトルは「魂のエレガンス」、その言葉がぴったりくる一冊だった。

 映画「潜水服は蝶の夢を見る」 [公式サイトLink]

2008.01.07

エヴァ・ビロウの絵本


『ハリネズミかあさんのふゆじたく』
(エヴァ・ビロウ さく・え/佐伯愛子やく/フレーベル館)

 縦19cmほどの、小さくてかわいらしい絵本。手にとるのがうれしくなるサイズの絵本です。
1948年初版のもので、1990年に復刊。そして、今度は私たち、日本の子どもたちも読めるようになったのはとてもうれしいこと。作者、エヴァ・ビロウは1902年にスウェーデンに生まれ、10歳の頃に、エルサ・ベスコフと出会い、絵本の世界に入ろうと思ったそうです。その意志をつらぬき、ストックホルムの美術学校にすすみ、その後40年以上にわたって、教師と絵本制作のふたつの仕事に携わり、1961年には、エルサ・ベスコフ賞を受賞しています。この絵本の原画は、現在スウェーデン国立博物館が所有しているとのこと。1993年に永眠。

 さて、絵本の物語は、こんな風です。
 ハリネズミかあさんには、10ぴきのこどもがいました。ある日、こどもたちに冬の靴をつくってあげようと思いたちました。まず蛇の皮をとりだし、うさぎに靴の形に切ってもらうようにお願いします。そうして、様々な工程を動物たちにお願いしていくのですが、なかなか計画どおりにはいかず……。

 シンプルな二色刷の絵は、軽やかで楽しいハリネズミかあさんと、元気なこどもたちを描き出し、靴がどうやってできていくのかしらという興味をひっぱります。わが家でも、3人の子どもたちに読んだのですが、次々に起こるハプニングに、だんだん笑いがとまらなくなり、最後にへぇーとなっていました。

 うれしいことに、この絵本は(以下続刊)とありましたので、また次の楽しみがありそうです。わくわく。

2008.01.06

歳事唄

 一つ火鉢で

一つ火鉢で焼いた餅
二つふくふく福手餅
三つ見事な飾り餅
四つよごれた小豆餅
五つ隠居のかぶれ餅
六つむつまじ夫婦餅
七つななくさ雑煮餅
八つ野郎子に呉れる餅
九つ小僧にこぶし餅
十で殿様に上げる餅

『わらべうた 日本の伝承童謡』(町田嘉章・浅野建二編/岩波文庫)より

2008.01.05

 お正月に珍しく身内の来訪がありました。私の家族は少し離れた所に住んでいるので、なかなか顔を合わしません。今年わが家に来てくれたのは、ハワイに住んでいるひとつ下の妹です。ハワイ在住、アメリカンインデイアンと日本のハーフの彼と結婚したのがもう16年くらい前。数年前には、ホノルルでも便のいい所に家を買い、せっせと働き、日本にも年に1、2度帰省しています。そう、よっぽど私より、北海道の実家に帰っているのが妹なのです。もう一人の妹も母とは別暮らしなものの、独り身なので、今年の年越しは女3人、温泉でゆっくり過ごしたそうです。で、彼女の今回の帰省目的の高校の同窓会に出席すること。それもあり、17泊18日という長期の帰省だったため、せっかくだから、東北の片田舎に住んでいる姉の所に足をのばそうと殊勝な気持ちになったらしいです。

 折しも、こちらは年越しあたりからの大雪で、乗り換えも無事うまくいくかしらと心配したら、「これから行こうとする人間に、ネガティブなこと言うな」と叱られました。北海道から仙台まで飛行機、仙台から新幹線、ローカル線を乗り継ぎ、実家からドアツードアでかかること9時間。無事到着しました。
 つれあいが、初めてこの地に訪れる妹のために、またも、こづゆやら、ひたし豆やらをつくってくれ、メインはおいしいお豆腐で鍋にすることに。
 数年ぶりに会う彼女は、変わらず元気でかわいらしく、小さい頃からカメラ目線をはずしたことのない隙のなさ(?)も健在。芋焼酎と料理に舌鼓をうったあとは、すぐ熟睡。どこに行っても、焼酎をロックで飲み9時就寝なんだそうです。

 次の日は、つれあいは仕事始め。私と子どもたち、妹は近場の温泉の昼食プランへ出かけてきました。ちょっぴり贅沢に、寝ころび式飯石サウナ、棚田風露天風呂、空中露天風呂などを堪能したあとに、大人はすきやき膳、子ども達も豪華な食事をして、ゆったりしました。
 北海道でもゆっくり温泉につかり、ヨーロッパをはじめ、あちこち旅行している妹もここの温泉は気に入ってくれたようで、ほっ。

 おもてなしの温泉を終えたあとは、家でゆっくり。
 まったく本を読まなかった妹が、「私もブンガク少し読むようになったんだよ。ハワイでは小さい本(注:文庫本)が貴重だからいっぱいちょうだい」というリクエストに、30冊以上持って帰ってもらいました。ハワイに住んでいるくせに、「外人さんの書いた話は難しいから、選ばないように。選ぶとしても、簡単でおもしろいものにしてね」というリクエストにしたがい、日本作家のものを持ち帰ってもらうことに。妹は英語が嫌いで、だんなさまも日本語が堪能なので、ふだんは日本語中心の英語チャンポンの会話。それでも、今回の会話では、時折、英単語を交えていてはいました。子どもたちの「英語しゃべって」というリクエストにも一切こたえず。「英語しゃべれないのよ」と。さっぱりしている妹です。

 帰るとはいえ、彼女の旅はここからまだまだ続き、これから、友だちの住む埼玉県へ。一泊したあとは、東京へ。東京で二泊したあとは又北海道にもどり、それからハワイに帰るのです。タフですなあ。

 「お姉ちゃんのところで観光は考えてないから」と言うものの、いちおう、お城が観光名所なので、駅に向かう途中に見せて写真を数枚とって、彼女は埼玉に向かって行きました。

 なぜ、こう長々と書くかというと、このブログをハワイで読んでいるらしく、「私のこと書いてね」とリクエストされたから。こんなものでよいでしょうか。来てくれてありがとう。おみやげもありがとう。また焼酎準備するので遊びにきてね。ジョージくんによろしく。

2008.01.03

謹賀新年

あけましておめでとうございます。

毎年帰省もせず、ぬくぬくゆるりとしたお正月を過ごしているのですが、今年は、年末から京都に住んでいた時の友人家族が年越しに来てくれたので、それは楽しくおしゃべりしながらの新年でした。友人のところは5歳と3歳の男の子。それはそれはめごくて、いまうちのちびちゃんは6歳で、3歳がはるかかなたのよう。友人とのおしゃべりは本当に贅沢。つれあいが、いつものように、朝から料理づくりにがんばってくれたおかげで、こづゆ、身欠きニシンとたけのこの煮物、数の子のひたし豆、子どもたち用にはチキンライスなどなど。

折しも、年末からの大雪で無事到着するかとハラハラしましたが、数十分遅れで到着してからは、京都の子どもたちは、雪に大喜び。やまない雪でまっしろの庭から、お皿に雪をすくってハチミツかけて、「かきごおり!」と何回もおかわりしていたほど。ちびちゃんも影響を受けて、雪っておいしいねと、ぱくぱく食べていました。

次の日はかまくらづくり。しめっている雪はかまくらづくりにおあつらえ向き。友人たちも、子どもらと一緒に雪を楽しんでくれました。

そして友人家族が帰った日には、地元の友人たちと新年会。食べて呑んで食べて呑んで一日が過ぎ、今日は私の妹が来る予定。スタンドバイなので、明日になるかもしれないけれど、にぎやかなお正月はあともう少し続きます。子どもたちは、お客様好きなので、なんていいお正月なんだろうと毎日わくわくしています。ほんと、うれしいお正月です。

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