ペネロピ
『ペネロピ』
マリリン・ケイ 永瀬比奈訳 ISBN 978-4-15-041158-9 定価(本体571円+税) ハヤカワ文庫
2008年2月下旬より、テアトル・タイムズスクエア他全国順次ロードショーで公開される映画『ペネロピ』[公式サイトLink]のノベライズ本。
主人公、ペネロピ・ウィルハーンは名家のひとり娘。家柄がすばらしく、ペネロピ自身もすてきな令嬢であるにも関わらず、お年頃になってもなかなか決まった人がみつからない。なぜなら……。
おとぎ話のような設定なのだけれど、ストーリーに流れる空気は現代。ペネロピは、ひいひいひいおじいちゃんの悪しき行為のためにかけられた呪いのせいで、自由な生活を送ることができない。オシャレをして友だちと外出し、おしゃべりに興じることもしない。自分で店に出かけて洋服一枚買うこともない。母親も今のあなたは本当にあなたではないと繰り返し娘にいう。いま、こうして生きて本を読み、植物を育てている、ペネロピは、ではいったい誰なのか。
少女の成長物語なのだけれど、おとぎ話をエッセンスに、現代の普遍的な物語になっている。最後のカタルシスはすばらしい! 夜中にひとりよんで、「きゃー」と思わず喜んでしまった。すてき、すてき。ペネロピいいな。映画がこの田舎にくるかどうかはおそらくムリだろうけれど、映像のペネロピにもぜひ出合いたい。
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