3びきのゆきぐま
『3びきのゆきぐま』(ジャン・ブレット作 松井るり子訳 ほるぷ出版)
ジャン・ブレットという絵本作家の名前を覚えたのは、同じほるぷ出版から出ている『ぼうし』を読んだ時です。小さい書影ではそこまでみえませんが、この画家の描く絵はとにかく、細かくて美しい。そして、見開きの中心で動いている時間、サイドで動いている同じ時間の別のシーンと、見るところがいっぱいある絵本なのです。
新刊絵本はこれからの寒い季節にぴったりの、北極圏を舞台にした、「さんびきのくま」のお話。
子どもたちに読んでいると、このお話知ってる、さんびきのくまだ!とすぐにわかった様子。あ、でも、これ女の子だねとめざとく見つけるちびちゃん。そう、たいていの民話では、さんびきの一番下は男の子の設定ですね。
そして、『金のがちょうのほん』に収録されている「三びきのくま」では、きんきらこという呼ばれる少女で登場するのが、ここでは、イヌイットの少女アルーキ。
サイドストーリーとあわせて、子どもたちも指でいま、ここはこうなってるね、ああなってるねと、メインとあわせてお話の流れをつかんで楽しく聞いていました。私もこの絵本は読んでいても、見たいところがいっぱいなので、子どもと読む以外にもひとりで、じっくり読んでいるのです。
作者写真は、なんとイグルーの前に立っているもの。イヌイットの人々に会いに、カナダ北部のヌナブト地方の首都、イカルイトを訪れたとあります。ご自身の目でみた美しいものが、絵で表現されているのでしょうね。美しい一冊です。
松井さんの翻訳、やはりすてきですよ。
http://ruriko.jpn.ph/
ご自身のサイトの日記に、訳した時の言葉の選び方など書かれていて、なるほどと思い、また絵本を読み返して味わっています。
ブレットさんの絵は本当にみごたえがありますね。イヌイットの少女も衣装も、ほれぼれするほど美しい!
投稿: さかな | 2008.10.30 08:06
邦訳がでたなと気になっていました。ブレットさんの細かいけれど力強い絵がイヌイットの生活を描くのにぴったりですよね。あの匂いや温度が伝わってくるあたり、松井さんがどう訳されているのか読んでみたいです。
投稿: NON | 2008.10.30 04:47