カイサとおばあちゃん
リンドグレーンの新刊です。作品集でいえば23番目にあたるこの『カイサとおばあちゃん』を読んで、ほんとうにリンドグレーンはすごい、そう思いました。
子ども時代の幸せを描く作家としてのリンドグレーンは言わずもがなですが、現実的な、ありていにいうと不幸な子どもを描ける作家でもあるのです。10編の短篇がおさめられているこの本でも、子どものせつない状況をセンチメンタルでなく描き、うなりました。すごいです。
子どもは幸福な時間を過ごしてほしいと思います。けれど、死に近い、あやうい所でいつもバランスをとりながら日々を重ねているのも現実です。そんなあやうさが死と重なった時の話、「プリンセス・メーリット」では、最後の二行はことさら胸にきました。
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