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2008.11.18

オキシトシン

オキシトシン―私たちのからだがつくる安らぎの物質
シャスティン・ウヴネース・モベリ
晶文社
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オキシトシンは、「速い」と「陣痛」という意味のギリシア語にちなんでつけられた物質だそうです。本書では、発見時は出産の経過を加速する物質が、現在でははるかに大きな生理学的な役割を果たしていることが、わかりやすく紹介されています。著者は、4人の子どもの妊娠、出産を経験した後、「その人生経験を科学的に探求しよう」と思い立ち、オキシトシンに注目し、いまやこの分野の世界的権威のひとりとなっています。

さまざまなストレスとつきあいながら、日常を送っている人は多数いるでしょう。それらのつきあい方として、私たちも体から安らぎをもたらすオキシトシンがストレスの緩和に役立っているというくだりに、素人の私もがぜん興味がでてきました。

では、どうしたらその安らぎを得られるのか。得るためのシステムを活性化するためにはどんな事があるのか。そのひとつに、マッサージなどのタッチがあるそうです。(他にも紹介されているのですが、この項はとても身近に感じました。)なるほど、確かに、しんどい時に、背中を上から下にゆっくりさすってもらう、いわゆる水のタッチは看護の世界でも聞かれます。背中をさすってもらうのは、子どもも私も大好き。また、食べることは、内側からのマッサージという章はとても腑に落ちるものでした。「食べることは、いわば体の内側からのマッサージだと考えられる」――おいしいものを食べるとしあわせな気持ちになれるのは、こういうことだったんですね。

「人生の良きものを楽しみ、くつろぎ、他者と結びつき、自らを癒やす能力をもっている」、その能力を活かして、楽しく暮らさなくちゃと思えた心地よい読書でした。

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