韓国の童話シリーズ(2)
ぼくのすてきなお兄ちゃん (韓国人気童話シリーズ5) (韓国人気童話シリーズ)
コ・ジョンウク文 ソン・ジンホン絵 吉田昌喜訳
小学3年生のジョンミンはずっと一人っ子でした。ところが、遠い親戚のおばあさんが亡くなり、両親が出かけて戻ってきた時は、お兄ちゃんが一緒でした。突然お兄ちゃんだよと言われても、とまどうジョンミン。お兄ちゃんは脳性麻痺のため、おばあさんが育てていたのでした。両親に裏切られたように思うジョンミンは、なかなか兄の存在を受け入れられず……。
韓国人気童話シリーズの5冊目(前4冊の紹介はこちら[Link]は、脳性麻痺のお兄ちゃんのお話。障害に対してあからさまな偏見を向ける周囲の人々など、読んでいて、その率直な語り口に正直、びっくりするほどなのですが、読み進めていくと、作者の「どんな人でも、幸せになれる権利をもっているんだ」という気持ちがまっすぐ伝わってきます。
世界で一番小さないもうと (韓国人気童話シリーズ6) (韓国人気童話シリーズ)
コ・スザンナ文 イ・ジンウ絵 榊原咲月訳
お母さんに赤ちゃんができた! 喜んでいたお父さんと娘のスアでしたが、生まれてきた赤ちゃんは、830gの低体重の早生児。その日から、家族で小さく生まれてきた赤ちゃんを見守る生活がはじまりました……。
作者のまえがきによると、韓国では早生児として生まれてくる赤ちゃんが年々増えているそうです。治療するためには、高額なお金も必要となり、多くの親が赤ちゃんを守るためにがんばっていると。本書でも、小さく生まれてきたゆえの経済的負担で苦しむ親の姿が描かれています。その負担に押しつぶされそうになっている大人の横で、妹の心の声をキャッチする姉の姿があり、読んでいてこちらまで励ましてもらっているような気持ちになりました。上記にあげた「お兄ちゃん」の本同様、細かいところまで率直に書かれていて、気持ちが揺さぶられました。読んだら、誰かと話しをしたくなる物語です。
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