あかちゃんにあえる日
『あかちゃんにあえる日』
キンバリー・ウィルス・ホルト作 ギャビ・スヴャトコフスカ絵 河野万里子訳 小峰書店
2006年に原書が刊行された時、あのYAの名作『ザッカリー・ビーヴァーが町に来た日』(白水社)を描いたキンバリー・ウィルス・ホルトの絵本だ!と飛びついた一冊でした。届いた原書は期待以上にすばらしく、ギャビ・スヴャトコフスカのこってりしたカラフルな絵もすてきでした。読んだ当時、ちびちゃんはまだ保育園児。こんな会話を交わしていた時でした。
園の帰りにおなかの大きい(来週が予定日!)ニンプさんに「あかちゃんは もう うまれた?」とおなかをなでながらとつぜん聞くちびちゃん。「まだよ、だからこんなに大きいの」「そう、おなかキックするの?」「すごくするわよ」「そうか、赤ちゃんに会いたいなぁ」
絵本の表紙で人待ち顔にしている少女はアイリス。おばさんに男のあかちゃんが生まれると知り、いつ生まれるのだろうと心待ちにし、パパやママ、おじいちゃんにおばあちゃんたちに、「グレゴリーはいつうまれるの?」と聞き回ります。それぞれの大人たちの受け答えがまたいいんです。そうやって待ってまって誕生したグレゴリー。あれをしよう、これをしようと持っていたアイリスが、うまれたグレゴリーを抱いて思うことはなんでしょう。
ホルトのまなざしのあたたかさは、どの物語にも共通しています。このやさしさの物語につけられた絵も幸せに充ち満ちています。ほんのちょっぴりこの絵本の誕生に関わったひとりとして、ほんとうにうれしい刊行です。
最近のコメント