賞をとった子どもの本
ルース・アレン著 こだま ともこ監訳 熊谷 淳子訳 本間 裕子訳 税込 ¥8,400 玉川大学出版部 702ページ ISBN : 978-4-472-40394-1 2009年12月25日刊行予定 |
児童書の賞とは何か? 賞が担うべき役割とは? (帯文より)
児童書に興味のある人にとっておもしろい本が刊行されます。読み物ではなく、資料的価値を楽しむという本なのですが、わたしのような大人は原書を選ぶ時、参考にするひとつが受賞作かどうかです。一年に発表されるさまざまな賞は、一種お祭りのような華やかさを運んでくれるとともに、どんな本が英米圏で選ばれているのか、ひとつの指標にもなるのです。
本書は「カーネギー、ケイト・グリーナウェイ、ニューベリー、コールデコット――英語圏70の児童図書賞の沿革から長年にわたる受賞作のリスト(邦訳情報付き)、賞に対するとらえ方の変遷、受賞作の反応に至るまでを丹念に調べ上げた労作!」です。
わたしも全部は目を通していないのですが、詳細な索引はそれだけでも資料的価値がとても高いです。また個人的には翻訳家の索引でも友達のお名前を発見してはうれしくなってしまうところもあり。
ニューベリー賞の全受賞作品とオナーの大半が絶版になることなく再版されつづける、「不朽の名作」になることを約束されているということは、不勉強ながら今回はじめて知りました。あっというまに消えていく新刊の中で、その光を絶やさないということ。受賞することの重みも感じます。などなど、各賞に対する綿密なほりさげはよみごたえがあり、これから何度も読みふけりそうです。また「正統な作品がいつも受賞してきたか?」「ハリー・ポッター効果とクロスオーバー現象」など、おもしろそうな項目もあります。
最後におもな目次をご紹介しましょう。
1 この本について
2 本と子どもたち
3 ニューベリー賞(アメリカ)
4 CILIPカーネギー賞(イギリス)
5 コールデコット賞(アメリカ)
6 CILIPケイト・グリーナウェイ賞(イギリス)
7 ボストングローブ・ホーンブック賞(アメリカ)
8 絵本のイラストレーションとテキストの賞
9 主流の賞を補完または補正するためにつくられた賞
10 ノンフィクションと詩の賞
11 大企業がスポンサーの賞
12 ほかの国々の英語の児童図書賞
オーストラリア/カナダ/アイルランド/ニュージーランド/南アフリカ
13 正統な作品がいつも受賞してきたか?
14 ハリー・ポッター効果とクロスオーバー現象
15 反応
作家と画家の意見/評論家と図書館員の意見
NONさん
レファレンス本としても価値のある一冊ですが、読み物としても記事のほりさげはとてもおもしろいです。いい本を出してくださいました。
しのさん
おもしろいです。おっしゃるとおり、本を選ぶ、その先にあるのが賞でもありますね。ぜひぜひ。
shokoさん
知っていたような賞も詳細な記事になっているので、読みごたえあります。手元にあると便利な一冊です。
投稿: さかな | 2009.12.11 13:06
わあ、これは読まないと!
ご紹介ありがとうございます。
投稿: shoko | 2009.12.11 06:17
すごく面白そうです!とても興味があります。
本を選ぶときには、やはり受賞作品かどうか参考にしています。
でも、一方で、
子どもの本を大人が選ぶことの意味(あるいは無意味)も考えてしまいます。
そういうことも含めて、とても面白そう。
ご紹介くださって、ありがとうございま〜す
投稿: しの | 2009.12.10 19:58
ほんとうに貴重なこの本が、やっと手にできるようになったのですね。
著者にとっても、訳者にとっても、たいへんな労作。
ぜひぜひたくさんの人に読んでほしいです。
投稿: NON | 2009.12.10 19:00