まるきのヤンコ
昨夜、久しぶりに子どもたちに絵本を読みました。
「まるきのヤンコ」、こどものとも年中向き11月号、いま発売されている号です。
スロバキアの昔話で、絵はドゥシャン・カーライの元で絵を学んでいる洞野志保さん。
「まるき」はひらがなで書くとちょっとピンときませんが、丸木のこと。子どもが欲しい夫婦が菩提樹の丸木から子どもをつくる。できた子どもをたいそうかわいがり歌を歌ってやります。3度歌ったとき、子どもに命が宿りました。名前はヤンコ。
ドキドキする場面を読んでいると、いつのまにかつれあいも聞き入ってました。
最後を読んで、みんなでよかったと安心します。
昔話ってほんとうにおもしろい。
ちぃちゃんは大きくなって、もうひざの上に座っても長い(?)足がじゃまになるくらい。「足、ちょっとじゃまだね」と言ってます。
読んでいると、上の子も寄ってきて見入っている。本を読むってやっぱりいいです。
そしてこんな風に楽しめる絵本を410円で買えるなんて、すばらしい。福音館さんに感謝。
理論社のニュースが飛び交ってから、「飛ぶ教室」の昔の号を引っ張り出して熟読してます。いまの「飛ぶ教室」の前の時代のもの。36号くらいから子どもの本の出版を特集して、福音館、理論社、岩波書店のことが掲載されています。福音館書店も理論社も、どれだけお金で苦労して出版を続けてきたかが、リアルタイムで読んでいた当時よりいまの方がより切実に読めます。
ニュースを聞いてびっくりした時、ツイッターで友人から理論社創業の雑誌「理論」の冒頭に掲げられた詩を教えてもらいました。ちょうど「飛ぶ教室」の理論社特集号でも、小宮山量平さんがその言葉を発しています。
「友よ地は貧しい。我らは豊かな種を蒔かなければならない」
今江祥智氏がこの特集の前説に二代目社長がしりぞく時に書いた一文を紹介しています。『ハイジ』のアルム爺さんの言葉です。
「夕やけってのはね。それはおてんとうさまのすることだ。山におやすみをいいながら、じぶんのいちばんきれいなひかりを投げてやるんだよ。あしたくるまでおぼえてくれよってな」
理論社の明日を――きっと私以外の多くの人も待っているはず。
« この夏 | トップページ | 書評のメルマガに書いてます »
物語を読むことは、なんともいえない雰囲気ですよね。
物語にぐぅぅっと入り込むのがとてもよくわかるとき、読み手も至福のひととき。
NONさんのおっしゃるとおり、本があるからできる時間なんですね。
自分のできる範囲で支えていきたいです。
投稿: さかな | 2010.10.16 10:05
以前、『ハイジ』を家族三人のために朗読したことがありました。数日間かけてクララの家で病気になるあたりまでいったかな。記憶が定かでなくなってしまいましたが、最後まではいきつきませんでした。自分の声に、6つの耳が集中する気配がなんともいえませんでした。こんな豊かな時間を、こんな安価で提供してもらえるのですから、本はすごいです。どこもたいへんだけど、出版社さんにはふんばってほしい。もちろん、わたしたちも支えなければ。
投稿: NON | 2010.10.14 22:05
bakuさんに教えてもらった詩です~。
民事再生にともなって、苦い思いをする人も確実に存在するのですが、それでも本が残ってほしいと思ってしまうのです。
いい形で再生できるといいですよね。
『ハイジ』、本棚からひっぱりだして横においてます。読み返さなくちゃ。
投稿: さかな | 2010.10.12 21:58
さかなさんと本のまわりに こどもたちがいる、なんていい風景なんでしょう。
理論社のお話と『ハイジ』のアルム爺さんの言葉にも、胸がいっぱいになります。
あしたくるまでおぼえてるよ!
投稿: baku | 2010.10.11 20:03